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うつで人生転落…大手退職したら求人はブラックな非正規ばかり

 40~50代の失業、数値には反映されない“新型”の無職中年が今、増加の一途を辿っている。現役世代を突如として奈落の底に突き落とす“社会の落とし穴”はいかにして生まれたのか!?
新型[無職中年]が急増中

2年前から無職状態が続く秋吉友道さん(仮名・49歳)

うつで非正規→無職。「社会に戻るのが怖い」

●秋吉友道さん(仮名・49歳)  2年前から無職状態が続く秋吉友道さん(仮名・49歳)も、うつが転落のきっかけだった。家電メーカーで働いていた37歳のときにうつを発症。 「退職から1年半後、うつの症状が寛解したのを機に再就職活動を開始しましたが、面接では1年半のブランクについて必ず聞かれました。ごまかしようがないので『うつでした』と明かすと、言動に変化はなくても面接官がスッと引くのがわかるんですよ。結局、就ける仕事は離職率の高いブラックな非正規ばかり。そんな非正規の仕事さえも、40歳を超えた頃から職探しが難航していきました」
新型[無職中年]が急増中

将来への不安で眠りにつけない夜も多い。枕元には睡眠薬が無造作に積まれていた

 ただでさえ不安定な仕事を転々として気持ちが滅入っていた秋吉さん。食品倉庫への派遣社員として生計を立てていた45歳の頃、さらに追い打ちをかけるような事態と遭遇する。 「20歳近く年下の正社員たちが『あの年で派遣は人生終了』『テキトーに生きてきたツケだろ』と笑って陰口を話しているのも耳にして心が折れてしまったんです。『俺だって頑張ってきたのに、どうしてこんなこと言われなきゃいけないんだ』って涙が出てきて……」  その日から家で寝込む日が増え、うつを再発。以降2年間、求職活動は行えていない。 「わずかな貯金と、恥ずかしながら80歳になる親の仕送りで生きています。働きたい気持ちはあるけど、またいつうつの症状が出るかわからない。『甘い』と思われるかもしれませんが、社会に出て再び虐げられるのが怖いんです」
新型[無職中年]が急増中

正社員時代の昇進辞令の通知書を大切に保管し、今も時折眺めている

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40~50代は常に過当な競争に晒されてきた
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