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母の介護を3年…年収700万円から無職になった40代の不安

 40~50代の失業率は2%前後とほぼ横ばいで推移し続けているが、数値には反映されない“新型”の無職中年が今、増加の一途を辿っている。現役世代を突如として奈落の底に突き落とす“社会の落とし穴”はいかにして生まれたのか!?
新型[無職中年]が急増中

親の介護のため無職になった石野誠さん(仮名・45歳)

「新型無職中年」急増の理由に迫る

●親の介護:石野誠さん(仮名・45歳)……2年半前、認知症の母を介護するために20年勤めた自動車メーカーを退職。つきっきりでの介護が必要なため求職活動はできていない =====  石野誠さん(仮名・45歳)は親の介護が理由で新型無職中年となったひとりだ。大手自動車メーカーに新卒で入社し、退職間際の年収は700万円。順調だったサラリーマン人生の歯車が狂い始めたのは3年前。父に先立たれ、実家でひとり暮らしをしていた母に認知症の症状が現れ始めた頃だった。 「母が心配だったので木更津の実家で同居することにしたんです。同居から半年は問題なかったのですが、認知症が重くなるにつれて、帰宅すると布団が糞尿まみれになっていたり、徘徊して行方不明だったりと、まったく目が離せない状態になってしまって」  介護施設に入所させることを考え、母に提案したものの、「父ちゃん(石野さんの父)との思い出が詰まったこの家からは絶対に出ない」の一点張り。結果、ひとり息子の石野さんは「最後の親孝行だと思って」仕事を辞め、母の介護に専念することになった。
新型[無職中年]が急増中

週に2日デイサービスを利用しているが、それ以外は食事・入浴・着替えなどすべての介護を石野さんが担当

「こんな言い方は母に悪いですが、『最後に1年くらい母と向き合うのも悪くないかな』と考えていました。認知症とはいえ、母の体はまだまだ元気。正直いつまでこの生活が続くかわかりません」  週に2日デイサービスを利用しているが、それ以外は食事・入浴・着替えなどすべての介護を石野さんが担当。3年目に突入したつきっきりの介護生活。現在の収入は月19万円の母の年金のみで、デイサービスなどの介護費用や生活費を差し引けば赤字の月もしばしば。これまでの貯蓄で補填しているが、長引く介護生活で300万円あった貯蓄も半減してしまったという。 「貯金が減ってくのはめちゃくちゃ怖いですよ。母が死んだ後だって僕は生きていかなきゃいけない。でも、母を看取る頃に何歳になっているかわからないし、すぐ仕事が決まる保証もないですよね。母が亡くなれば年金も途絶えるわけで、そのとき貯蓄を使い果たしていたら……。考えないようにしていますが、夜中に叫びたくなるときがあります」  10年以上の就労歴がある40~50代の無職1000人が回答したアンケートによると、無職になった理由を見ると、「親の介護」が32%と最も多く、求職活動していない理由でも25%と2番目に多いなど、親の介護を理由にやむなく離職し、キャリアの断絶が生じている中年が数多くいることが見えてきた。 ▼「就労歴10年以上、現在無職の40~50代男性」1000人にアンケート (調査期間:’20年3月23日~3月31日) Q.無職になった理由は? 1位 親の介護 32% 2位 精神疾患 20% 3位 リストラ・契約打ち切り 18% 4位 ケガ・病気 14% 5位 パワハラ・いじめ 9% Q.求職活動をしていない理由は? 1位 自信がない 28% 2位 親の介護 25% 3位 長期間のブランクによる不安 21% 4位 求職活動の失敗が続いて諦めた 12% 5位 治療・療養中 11% Q.現在の生活費は? 1位 貯金 35% 2位 親の年金・遺産 25% 3位 失業保険 15% 4位 生活保護 8% 5位 投資 3% =====
新型[無職中年]が急増中

一見無関係に見える上記3つの現象が現在の40~50代に発生。それらが三すくみとなり、条件を満たした40~50代がなんらかの理由で一度離職してしまうと社会復帰が困難になる状況が発生している

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介護の負担をひとりで背負わざるを得ない世代
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