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うつで人生転落…大手退職したら求人はブラックな非正規ばかり

40~50代は常に過当な競争に晒されてきた

 働き盛りの世代が転落する大きなきっかけとなる精神疾患。彼らの心が蝕ばれる構造を、労働経済ジャーナリストの小林美希氏はこう分析する。 「40~50代の多くは不況下で就職活動を始めた世代。社会に出る前、そして出てからも常に『勝ち組』『負け組』に選別され、過当な競争に晒されてきたのもこの世代の特徴と言えます。たとえ正社員になっても、若い頃からの長時間過重労働がたたって、この年代になったときに心身ともに壊れて職を失ってしまうパターンは今非常に多いんです」  10年以上の就労歴がある40~50代の無職1000人が回答したアンケートの結果を見ても、「再び仕事をする自信がない」「長期間のブランクによる不安」「求職活動の失敗が続き諦めた」といった再び社会へと出ていくことに対する不安や諦観が見て取れる。 ▼「就労歴10年以上、現在無職の40~50代男性」1000人にアンケート (調査期間:’20年3月23日~3月31日) Q.求職活動をしていない理由は? 1位 自信がない 28% 2位 親の介護 25% 3位 長期間のブランクによる不安 21% 4位 求職活動の失敗が続いて諦めた 12% 5位 治療・療養中 11% ===== 「秋吉さんのように、これまでの不安定な就労形態のなかで傷つき、働こうという意思があっても過去の体験のトラウマから動けなくなる状態に陥っている人も少なくありません」(ジャーナリスト・池上正樹氏)  10代の頃から「勝ち組」「負け組」と選別されながら不況のなかを生き抜いてきた40~50代。たとえかつて「勝ち組」であっても、過当競争下で生き残ってきた“代償”が今になって転落という形で表面化しているということか。 【労働経済ジャーナリスト・小林美希氏】 『週刊エコノミスト』編集部記者を経て’07年よりジャーナリストとして活動。著書に『ルポ 中年フリーター「働けない働き盛り」の貧困』(NHK出版)など 【ジャーナリスト・池上正樹氏】 ひきこもり問題を20年以上取材。著書に『ルポ「8050問題」高齢親子“ひきこもり死”の現場から』(河出新書)、『ルポひきこもり未満』(集英社)など <取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/リサーチプラス>
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