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上司のパワハラで県庁を辞めた40代。再就職も失敗「すべてがどうでもいい」

 40~50代の失業率は2%前後とほぼ横ばいで推移し続けているが、数値には反映されない“新型”の無職中年が今、増加の一途を辿っている。現役世代を突如として奈落の底に突き落とす“社会の落とし穴”はいかにして生まれたのか!?
新型[無職中年]が急増中

風間昌幸さん(仮名・45歳)

パワハラで県庁を辞するも仕事は非正規ばかり

●風間昌幸さん(仮名・45歳)  県庁職員だった頃の上司のパワハラで離職。すべてがうまくいかず、「ふと死のうと思っている自分に気づき、震えることがある」とか。 「30歳のときに異動した課の上司のパワハラがひどく、ひたすら耐える時期が4~5年続きました。辞めたい一心でしたが、不況の時代にせっかく入った安定性のある県庁を辞めて、民間企業への転職活動に励む勇気が湧かなかったんです……」  秋吉さんがようやく退庁を決意したのは39歳のとき。しかし民間企業の面接で感じたのは「公務員も務まらなかったヤツ」というレッテルだった。彼の家がゴミ屋敷化していったのもこの頃だ。 「地元のPR会社になんとか再就職するも、些細なミスであっても『お役所仕事が出た』などと常に揶揄されて1年で契約が切られる始末。その後、飲食店や配送業、工事現場などでの仕事も派遣社員として経験しましたが、もともと体力に自信がなく肉体的負担の大きな仕事は続きませんでした。無職になって1年たちますが、外出するのは深夜のスーパーで惣菜が半額になる深夜だけ。最近はすべてがどうでもいいと思っています」
新型[無職中年]が急増中

生活ゴミが散乱する風間さん宅。「かつては綺麗好きだったけど、今はゴミ捨ても面倒」

 生活保護の受給条件を満たしてはいるものの、「自治体の窓口で無職をなじられ説教されて以来、面倒くさくて諦めた」と風間さん。  10年以上の就労歴がある40~50代の無職1000人アンケートで生活費について聞いているが、「貯金」が35%、「親の年金・遺産」が25%、「失業保険」が15%と上位3つで75%を占めている。 ▼「就労歴10年以上、現在無職の40~50代男性」1000人にアンケート (調査期間:’20年3月23日~3月31日) Q.現在の生活費は? 1位 貯金 35% 2位 親の年金・遺産 25% 3位 失業保険 15% 4位 生活保護 8% 5位 投資 3% ===== 「今回の当事者等もこれらに合致していますが、貯金はいずれなくなりますし、親の年金に頼っていても親が亡くなれば無収入。失業保険だって受給期限がつきものです。つまりどれも有限で、そう遠くない未来に生活が破綻することは明白。いち早く手を打たないと、生命さえ脅かされる状態に瀕してしまいます」(ジャーナリスト・池上正樹氏)  生活資金が尽きる“リミット”が迫ったとき、どうやって生きていくか――。当事者等にそんな質問を投げかけたものの、誰ひとりとして明確な答えを持ち合わせてはいなかった……。 【ジャーナリスト・池上正樹氏】 ひきこもり問題を20年以上取材。著書に『ルポ「8050問題」高齢親子“ひきこもり死“の現場から』(河出新書)、『ルポひきこもり未満』(集英社)など <取材・文/週刊SPA!編集部 アンケート協力/リサーチプラス>
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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