コロナ禍で家庭内の性暴力が増加…少女を性的虐待から守るには?
コロナ禍によって甚大な被害を受けたのは、感染者や経済だけではない。”家族”という共同体の中で追いやられ、絶望的な日々を送る少女がいる。その実態に迫る。
中高生の望まぬ妊娠が増えている。親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営する慈恵病院(熊本市西区)では、今年4月に妊娠相談窓口へ寄せられた中高生からの相談件数は、過去最多の75件だった。
ここに、見過ごせない問題がある。若年層の望まぬ妊娠の裏には、ステイホーム禍における家庭内での性暴力による被害者も含まれているのだ。
4月下旬、大阪府在住の伊藤美咲さん(仮名・10歳)は、母親に付き添われ産婦人科を訪れた。新型コロナの影響で看護師の母親は2月下旬から激務に追われ、休校中の美咲さんは、休職中の母親の恋人と二人きり。母親不在の自宅で美咲さんは男に犯され、妊娠してしまった。
「ずっとママに言いたかったけど言えなかった。でも気持ち悪くなって思い切って相談しました」
美咲さんは現在、妊娠12週目。つわりの症状もある。しかし幼い彼女にとって堕胎は母体へのリスクが大きすぎるという考えから、出産する方向だという。事態を知った母親は警察に通報、男は逮捕されている。
後藤恵那さん(仮名・12歳)は父親とその再婚相手と暮らしている。昨年、初潮を迎えた彼女は、経血で布団や洋服を汚してしまうこともある。そんな彼女に苛立った義母から無理やりタンポンを挿入された。あろうことか、実父からは口腔性交を強要されている。
「家庭内の性暴力はマスコミで報じられる機会はほとんどありません。けれど、現実には起きています。体感ですが、娘をレイプする父親は年々増えていると思う」
セックスカウンセラーの傍ら、NPO法人「若者メンタルサポート協会」で相談員として活動する竹田淳子氏はそう語る。
「性被害に限らず、コロナ禍で子どもたちからの相談件数が激増しています。私も今まさに、22人の相談者と同時並行でやり取りしている状態です。中にはどんなに劣悪な環境でも『お父さんと離れたくない』『今の生活を壊したくない。自分がガマンすればいいんだ』と思い込んでいる場合もある。レイプされるのは自分が悪い子だからと思い込んでしまっているんです。当然、内容によっては児童相談所につなげることもありますが、自治体によって対応にバラつきがあったり、一度補導された際に嫌な思いをした子どもが行きたがらないケースもある。一筋縄ではいかないんです」
コロナ禍で学校にも行けず、家にもいられず、保護施設にも相談できない。そんな少女たちのSOSが竹田氏の元に届くこともあるが、それさえ氷山の一角。
「ネット環境がない、スマホも持っていない子は手立てがなく、絶望的な日々を送っていると思う。せめてこうした現実があることを大人たちが少しでも認識し、気にかけてほしいと切に願います」
少女への性的虐待の闇
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