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コロナ禍で家庭内の性暴力が増加…少女を性的虐待から守るには?

性虐待を呼び起こす原因は性欲ではなく支配欲

 そもそも家庭内での性暴力など、あってはならぬことだ。だが、なぜこうも悲劇は繰り返されるのか。依存症問題に詳しいソーシャルワーカーの斉藤章佳氏は語る。 学生「性暴力は性欲に起因していると思われがちですが、実際は支配欲の問題であるケースが多い。自分が優位であると実感するために、暴力によって“自分の言うことを聞く弱い存在”をつくるのがDVや虐待の本質です。性的虐待は、それが性的なもので表出した究極の形といえます」  娘に性暴力を振るう父親というと薬物依存症や特殊な性癖の持ち主などと思われがちだ。しかし実態は、世間一般が抱くイメージと乖離している。 「性暴力を振るう父親は、実は社会的地位の高い仕事に就いていたり、一見『まとも』と言われている人も多い。そもそも親は、自分の一存で子どもを生かすも殺すもできる圧倒的な支配権を持った存在であり、人の脳は自分の優位性を確認してストレス発散をするときに快楽物質が分泌される。つまりイジメには依存性がある。加害者性は、犯罪者に限らず誰しも潜在的に持っているものなんです」  当然、支配権を持つすべての父親が性虐待をするわけではない。 「加害者性が発動するのは極度のストレスや過労で追い詰められたり、孤立したとき。特にコロナ禍は減給やリストラ、倒産など、誰しもが極限状態にあるといえます。特に男性は、自死か他人への暴力か、と二者択一になりやすい。その背景には、逃げたり休んだり、他人に助けを求めることは『男らしくない』とする社会的な刷り込みの影響があります」  絶望的な現実の前に、はたして解決策はあるか。 「まずは偏見を持たず現実を知ること、そして万が一、周囲の子どもが性暴力や虐待について相談してきた場合は、否定せずに耳を傾けてください。『隙があったんじゃない?』『そんな格好をしているから』など、子どもを責める発言は絶対にやめてください。子どもがなにを着ようが、どこにいようが大人が性加害をしていい理由にはなりませんから」(竹田氏)  万が一、虐待かもと思ったら「189(いちはやく)」に電話をすれば児童相談所につながります。人が潜在的に抱える「加害者性」、状況次第では誰しも子どもに虐待をするかもしれない。家庭内の悲劇は、必ずしも別世界の出来事ではないのだ。
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漂流する“神待ち”少女たち
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