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震災後の仮設住宅で観た、田中将大の“炎のマウンド”。ロッテ・佐々木朗希の思い出

一軍の仙台遠征に帯同、楽天生命パークでの思い出

ランニングする佐々木朗 久しぶりの東北だった。千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手は6月30日から7月5日まで一軍の仙台遠征に帯同した。岩手県出身の佐々木朗希にとっては、イーグルスの本拠地・楽天生命パークでの観戦の思い出がたくさんある。 「東日本大震災前に2回。震災後にも1回行きましたね。家族で2回。あとは少年野球チームで見に行ったと思います」  グラウンドで汗を流しながら、懐かしそうにスタンドを見つめた。不思議なものだ。子供の時は遠いスタンドからグラウンドで行われるプロ野球を見ていた。今は逆だ。 「ライトスタンドの辺りが多かったですね。イーグルス対ファイターズが2回。ライオンズが1回かな。ファイターズのセギノール選手が印象的。そしてすごく熱い応援をするファイターズのファンの方がいたことを鮮明に覚えていて、翌年に見に行った際にもまたいらっしゃったのを覚えていますね」と思い出を語り、笑った。

子供の頃に夢見た景色が、いま目の前に広がっている

 そして、もう一つ笑いながら語ってくれたエピソードがある。当時、スタジアム外でファン向けのイベントとしてスピードガンコンテストが行われていた。一番速い球を投げると試合の始球式に投げられるという優勝特典のついた企画だった。子供心にとっさに思ったのは「もし一番になって始球式に投げることになったら恥ずかしい」という想いだった。今だからこその笑い話だ。 「今思うとそんな速い球、投げられるわけないですよ。確か優勝者は117km/h。小学生で投げられるわけないです。でも子供って不思議ですよね。なぜか恥ずかしいという気持ちが先に生まれたんです。だからチャレンジしていません。今思うと、そんなわけないですけどね」  今でこそ160km/hを超える剛速球を投げる投手という代名詞を持つものの、当時は普通の小学生。しかし、男の子独特の恥ずかしさが挑戦を拒んだ。今となっては懐かしい思い出だ。  グラウンドで汗を流しながらも、そんな想い出が頭を駆け巡る。外野まで走った。ふと内野方向を見つめると懐かしい光景が広がっていた。そこには子供の時にプロ野球を見ていた景色が広がっていた。 「懐かしい感じはありましたね。こんな感じで見ていたなあと。ベンチに戻ると、自分の立場の変化も感じました」
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誕生日にテレビ観戦した、2013年日本シリーズ第7戦
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