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「ほとんど呼吸が止まった状態」マスク呼吸、長時間のデスクワークは危ない

ビジネスの世界で瞑想やマインドフルネスが注目を集めるなか、かつてないほど重要性がクローズアップされているのが“呼吸”だ。医学的にも呼吸が心身の健康状態を高め、パフォーマンスを向上させることは証明済み。一方で、間違った呼吸は様々な危険を招く可能性も。呼吸と健康のメカニズムを専門家に聞いた。

間違った呼吸は肩こり・腰痛や老化、生活習慣病やうつ病まで招く危険も

呼吸

写真はイメージです

 呼吸法が間違っていると健康状態にどんな影響があるのか。呼吸と自律神経研究の第一人者である小林弘幸医師は、「とくに40歳すぎからは意識して正しい呼吸法を取り入れないと、さまざまな疾患やトラブルのリスクが高まっていきます」と警鐘を鳴らす。 「最近はコロナ禍によるストレスや不安が高まったり、常にマスクをしていることで呼吸が浅く速い口呼吸になってしまう人が増加。ほかにも、悪い姿勢のまま長時間のデスクワークに集中しているような人は、ほとんど呼吸が止まった状態で、かなり危険です」

呼吸と健康のメカニズム

 では、具体的に呼吸と健康の間にはどんなメカニズムが? 「深くゆったりとした鼻呼吸は、副交感神経を優位にさせ、自律神経のバランスが整うので心身の状態が安定します。すると、血中の酸素濃度が高くなり、だるさや慢性疲労が改善され、生活習慣病の予防にもなる。逆に、浅い呼吸は糖尿病や高血圧、脳梗塞、心筋梗塞や不整脈などのリスクを高めると言えます」(小林氏)  また、正しい呼吸が質の良い血液を全身に送り体のトラブル軽減につながると語るのは、アスレティックトレーナーの大貫崇氏だ。 「人間は一日に約2万回もの呼吸をしているので、その方法が間違っているだけで体には相当な負担がかかり、肩こりや腰痛の原因になります。正しく横隔膜を動かせていれば、その下にある腸を含む内臓が動くので、便秘の改善などが期待できます。  また、鼻呼吸ができれば血管が拡張するので全身に血流が届き、副交感神経が優位に。ストレスを軽減し、老化を予防してくれるでしょう」
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腸の活性化も
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