更新日:2021年07月01日 14:21
ライフ

カスハラ客vs.店の壮絶バトル。「悪質な客を排除したら売り上げが増えた」

店頭の従業員に理不尽なクレームをつけたり、土下座を要求。果ては、その様子をSNSで拡散する「カスタマーハラスメント」が激増している。厄介なカスハラ客と店の壮絶な戦いの現場をリポートする。

「お客様は神様」と逆ギレ。カスハラ客の呆れた蛮行!

「クズ! アホ!! カネ払っただろ!」  5月25日未明、東京・亀戸の弁当店「キッチンDIVE」で、男性2人組が店員に暴言を吐き、小銭を投げつける騒ぎが起きた――。長引くコロナ禍の影響もあってか、従業員への暴言や土下座の強要など、客側の度を越えたクレームや迷惑行為=「カスタマーハラスメント」(カスハラ)が近年激増している。  同店が騒動の動画をSNSに投稿したところ大炎上。被害届が出され犯人探しが始まると、逃げた客は観念したのか、男性客1人が謝罪に訪れるも「とうてい許せない」と一蹴された。毅然と対応した代表の伊藤慶氏はこう話す。 「酔客に噛みつかれることはよくあるが、今回のようなトラブルは10年に一度あるかないかです」  同店のように、敢然と応戦する店は少ない。産別労組・UAゼンセンの調査によれば、店側のカスハラへの対応でもっとも多いのは「謝り続けた」だ。 カスハラ

カスハラ被害者の悲鳴

 取材を進めると、多くのカスハラ被害者の悲鳴が聞こえてきた。ドラッグストアチェーン店の店長(50代・男性)はこう嘆く。 「きっかけは、釣り銭が床に落ちてしまっただけのことでした……。40歳くらいの男性客にお詫びすると、『わざとやっただろ!』『客に対する態度か!』と激怒して、同じ話が2時間も続いたんです。ほかのお客様にも迷惑だし、仕事にならないので『ほかにもお店はありますし、そちらへ行かれたらどうでしょう』と言うと、散々悪態をついてその客は帰ったのです。  ところが翌日、SNSに私の発言の音声がアップされて、チェーン本部で大問題になった」
カスハラ

写真はイメージです(以下同)

 百貨店に勤務する40代女性は、些細なことでカスハラ客に激怒された同僚の災難をこう振り返る。 「家具売り場で新人の女性スタッフが50代夫婦のお客様に応対したときのこと。成約となり、お名前を書いていただく際に『お名前を頂戴できますか』と話したことに2人ともキレてしまい、大クレームに……。顔を真っ赤にして『名前はお前にやれんだろ! 日本語がわからないのか!』と怒鳴り散らされました。  そこまでの落ち度はないけれど、百貨店はもともとクレームに敏感なので、結局、上層部がご自宅に謝罪に伺いましたが、そのせいでそのスタッフは退職してしまいました」
次のページ
空前のブームに沸くサウナにまで……
1
2
3
4
おすすめ記事