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“初舞台でウンコを漏らしてから……”「小野寺ずるのド腐れ漫画帝国 in SPA!」~第三十九夜~

“表現者”として、数多くのドラマ・映画の出演、さらに漫画執筆と多岐に才能を発揮する小野寺ずる。今回はもうひとつの表現法、“ポエム”に挑戦。彼女曰く、「あまり評価されないんですよ……」の言葉を、この文章を読んだあとに、あなたはどう思う? coramu_engeki

初舞台でウンコを漏らしてから……

coramu_engeki今日は、舞台上で脱糞したお話をさせていただきます。 就職活動がうまくいかず22歳で小劇場で役者デビュー。同年、脱糞。私の経歴はこれで充分。 初めまして、小野寺ずるです。脱糞したのは演劇出演3作目。お芝居を始めたばかりの私は喋り倒すヤリマンという役を演じていました。 “表現・それは魂” ビギナーならではのスピリチュアルを燃料にヤリマンの魂を披露しようと舞台で力みに力みを重ねていた私の体は不慣れなことでボロボロでした。 “表現・それは体力”と32歳の私はあの頃の私に教えてあげたい。だからあなたは舞台上でうんこを漏らすことになるんだよ、と。開演直前、舞台袖から満員の客席を眺め「魂込めるよ」と見当たらない魂に誓う私。後ろから相手役の女優さんが握手を求めてきました。 「千秋楽頑張ろうね」

いよいよ幕が上がる

暗がりで目を輝かせ、声を潜めてする握手。演劇は良い。娯楽の手段が増えに増え衰退し、更にコロナで滅多打ちだろうがここにしかないものしかない……。いよいよ幕が上がる。音楽、激しいギター。煽るボリュームに合わせ暗くなる場内、高鳴る鼓動。 「さぁ、深呼吸!今日しか会えないお客様に会いにいこう……!」 スゥーーーハァァァアアアアア ここだ。 ここで全部出た。口から息、肛門からうんこ、全部出た栄養ドリンクの飲みすぎだった。「ショーマストゴーオン」を骨の髄から「わかります」と言える役者はなかなかいない。私はここでその数少ない役者と成りました。
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クソをケツにびっしり挟んだ私が舞台上で喋り倒している
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'89年宮城県出身の役者、ド腐れ漫画家。舞台を中心に活躍後、'19年に「まだ結婚できない男」(関西テレビ)で山下香織役、'20年「いいね!光源氏くん」(NHK)で宇都宮亜紀役など、テレビドラマでも活躍の場を広げる。また、個人表現研究所「ZURULABO」を開設し、漫画、エッセイ、ポエムなどを発表。好きな言葉は「百発百中」。 Twiter:@zuruart


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