繋がれない・会えない・売れない…営業マン“苦難の時代”の生き残り術とは
かつてはサラリーマンの代名詞だった「営業」という仕事。必死にアポをとって足しげく取引先を回り、ときには夜も接待に精を出す……。そういった旧来の営業のイメージは、もはや過去のものかもしれない。
「そんな泥臭いイメージが嫌われ、営業職はいつしか“やりたくない仕事”に挙げられるようになってしまいました。販売職と合わせれば日本の就業別人口のトップ5に入るほど多くの人が従事する仕事なのに、特に若い人ほどその傾向が顕著になっています」
そう話すのは、これまで1100社に対して営業支援を行ってきた企業・セレブリックスの今井晶也だ。23年間の同社の歴史の中で積み上げたノウハウを著書『セールス・イズ 科学的に「成果をコントロールする」営業術』でも解説している今井氏だが、営業職がこれほどまでに嫌われてしまった裏には、日本企業の悪習があるという。営業のプロフェッショナルである今井氏に、営業という仕事がどう変わっているのかについて聞いた。
――近年、営業職が「なりたくない職業」に挙げられることが多い理由は何だと思いますか?
今井「特に若い世代の方にはドラマや親世代からの刷り込みが大きいのかなと思います。『ノルマがきつい』『謝ってばかり』『足で稼がないといけない』といった疲弊するというネガティブな印象ですね。
加えて、日本企業には今でも、新入社員はとりあえず営業部に配属する風潮が残っていたりします。『営業は修行の場』と、本人の適正も考えずに配属が行われると、どうしても“やらされている感”が強まってしまいます。そんな昔ながらの風潮に反して、実際の営業の仕事内容はどんどん高度なスキルが必要になってきています。営業とは本来、専門職であるべきなんです」
――昔ながらのステレオタイプな営業ではもう通用しないわけですね。
今井「営業における最も大きな変化は、『分業制が進んだ』という点です。従来はアポイントからクロージングまで1人で担当するスタイルが主流でした。今でもすべて1人で請け負うケースはありますが、特にSaaSやサブスクリプション方式の分野では、リードと呼ばれる見込み客を獲得するマーケティング担当や、その見込み客とコミュニケーションをとるインサイドセールス担当がいたり、検討中のお客様との商談を専門的に行う人がいたり、各業務で分業が進んでいます」
――そのような変化から取り残されている営業が多くなっている、と。
今井「近年はさらに、顧客とのコミュニケーションがオンラインとオフラインを使い分ける『ハイブリッド型』になっています。当然ながらデジタル化も進み、様々なデジタル・ツールを使いこなすスキルも求められる。そのなかで、昔ながらの手法でなんとかなっていた人ほど変わろうとしなかったので、『今は営業が難しくなった』とギャップを感じてしまうのだと思います」
「新人はとりあえず営業」が招いた不幸
分業制が進んだ営業職
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株式会社セレブリックスの執行役員マーケティング本部長として、コーポレートブランディング、事業企画、マーケティング、営業領域を管掌。また、セールスエバンジェリストの肩書で、主に法人営業と新規営業における、セールスモデルの研究、開発、講演を行う。Twitter/@M_imai_CEREBRIX
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