更新日:2021年11月01日 14:36
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<純烈物語>2年3か月追い続け、紡いだアルバムとは違うクロニクル<最終回>

純烈1

2020年1月『白と黒とハッピー〜純烈物語』発刊イベントでの純烈と筆者(左)

<第120回/最終回>アルバムとは違ったクロニクル。2年3ヵ月間に及ぶ純烈物語

 2年3ヵ月に渡り連載した「白と黒とハッピー~純烈物語」は、今回分を持って終了となります。まずは、ウェブ記事としては異例の長文によるノンフィクションを毎週根気よく読み続けていただいた皆様に、感謝申し上げます。  スマホをスクロールしてテキストを追うだけでも大変だったと思われます。連載開始当初、担当編集者さんに「ウェブの記事はもっと短くていいんですよ」と助言されながら一発目で3500文字ほど書いて、そこから減らすと読者の方々に損した気分を与えてしまうと思い、120回分を同じペースで出力することとなりました。  何より純烈とその周辺を追い、掘り下げると鉱脈のようにどんどん伝えたいことがあふれ出てくる。そぎ落とす部分はほとんどなく“獲って出し”の感覚で書きまくった結果、あのような文字量となったというのが本当のところです。  それほど純烈というグループは、物語に満ちていました。当初は紅白歌合戦初出場を果たした直後にスキャンダルへ見舞われ、天国から地獄へと突き落とされたにもかかわらず終わらなかった裏に、どんな原動力があったのかを探求するのが目的でした。  そのためにはリーダー・酒井一圭さんの中にある戦略を聞く必要があったし、それを醸成するための経験……つまりは純烈結成時からの足跡も改めて検証しなければなりませんでした。プロレスを本籍とするライターにとって、演歌・ムード歌謡はまったくの畑違い。音楽は聴いていても、自分が好きなテクノやロックとは土壌も違います。

調べて調べてまた調べて……

 リーダーの話を聞き、音声を起こすたび門外漢のジャンルに関する細かい部分での事実関係を確認することで、新たなる知識を身につけていきました。得意分野だけにとどまっていたら、こうはならなかったと思われます。  子どもの頃に『秘密戦隊ゴレンジャー』を見たり『怪傑ズバット』の「日本じゃあ二番目だな」にハマったりしていても、自分が大人になってからの戦隊ヒーローに関しては何一つ知りませんでした。それでも『スーパー戦闘 純烈ジャー』について書くかぎりは、そこも押さえなければなりません。  調べて調べて、また調べる。それでも間違ったり認識の違いが出たりしてしまう。そのつど関係者や読者の皆様にご指摘いただき、痛みを味わうことによって頭ではなく体で憶えていきました。
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ムード歌謡というジャンルにとどまらず…
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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