「父は私をラブホテルへ連れていった」複雑性PTSDに苦しむ女性の壮絶な“生い立ち”
「わが家のクリスマスはいつも、酒に酔った父の怒鳴り声と私の泣き声が響いてました」。こう語るのは、複雑性PTSD(複雑性心的外傷後ストレス障害)という障害を抱える井川亜里沙さん(仮名・31歳)だ。両親からの虐待が原因で、この障害を発症したという。
【bizSPA!より転載。リンクなど元記事に移動します】⇒bizSPA!トップへ
複雑性PTSDについては2021年、小室眞子さんの報道により話題にあがった。結婚に対する誹謗中傷を受け、集中困難、焦燥感、無気力といった症状により、医師から複雑性PTSDと診断されたのだ。しかし、複雑性PTSDが起こる要因は、親からの虐待やネグレクト、間違った教育など、さまざまだという。
物心ついた頃から「言いようのない生き辛さ」を抱えていた井川さんは、高校生の頃から精神科に通院していた。自殺未遂を起こして救急車で運ばれたことも一度や二度ではない。大学を卒業後、大手企業に就職するも「仕事が遅く、ミスばかりだった」という彼女は残業による身体的ストレスも重なり、仕事を休みがちになる。
「自分でも何が悲しいのか、何が苦しいのかも分かりませんでした。とにかく生きていることが辛くて、ただただ、この世界から消えたかったんです」
原因不明の抑うつ感と体調不良が続く井川さんに対して、医師たちはいつも異なる診断をした。パニック障害、境界性人格障害、不安神経症、適応障害、発達障害……井川さんが診断されてきた病名は、軽く10を超える。しかし、どの薬も効果はほとんど感じられなかった。
精神的な落ち込みが酷くなり退職した井川さんは、ワンルームのアパートに1人で引きこもるように。しかし、追い打ちをかける出来事が起きた。母親との電話中、些細な口ゲンカをきっかけに、過去のネガティブな記憶がフラッシュバックとなって襲ったのだ。その多くが、幼い頃に両親から受けた虐待の記憶だった。
「フラッシュバックは今までに何度もありました。でも、自分の問題が過去の虐待に関係しているとは思わなかった。それに、虐待について人に話すのは家族の恥を晒す気がしてたんです。恥ずかしさと罪悪感がまさって、人に話すことはありませんでした」
しかし、強烈なフラッシュバックに苦しんだ末に、井川さんは初めて精神科の医師に自分の過去を打ち明けたという。その結果、複雑性PTSDとの診断がおりる。
「医師は私の話を聞いて、私が両親から受けていたことは虐待と呼ぶに値するレベルであること、不適切な教育環境が子供の脳に悪影響を与え、発達障害に似た症状を誘発することも教えてくれました」。最初は言葉が出てこなかった井川さんだったが、医師と話すうちに過去の記憶が次々と蘇った。
「この世界から消えたかった」数々の病名
医師に虐待の事実を告げると
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ