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日本人の6割が“生きづらい病”「毎日だましだまし生きている…」

 仕事や家庭などさまざまな場面で感じる「生きづらさ」が日本に蔓延している。30~55歳までの男女2000人を対象にしたアンケート調査でも64.5%の人が生きにくいと感じている日本の現代社会。もはや国民病とも言える、その病理に迫る! 生きづらい病の正体

「生きづらい」要因は?

 繊細すぎる感性を持つ『HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)』という気質や発達障害など注目を集めているが、精神疾患に分類される「複雑性PTSD」も生きづらさを生む要因とされている。 「阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件の後に『PTSD(心的外傷後ストレス障害)』が広く世に認知されましたが、命に関わるようなトラウマ体験に遭遇せずとも、家族との不遇な関わり、いじめなどを体験することで、本人の自覚のないうちに心に深い傷が残ることがあります。こうした傷が積み重なると、他人への恐怖感や不信感、自己肯定感の低下に繋がることも。これを『複雑性PTSD』と呼びます」(精神科医・坂本誠氏)  生きづらさの要因になる複雑性PTSDは、親の離婚、厳しいしつけ、恋人との離別、親友の裏切り、教師からの過度な叱責など、誰もが経験しうることが原因で引き起こされることがあるという。大手メーカーに勤める竹井正博さん(仮名・35歳)も複雑性PTSDによる生きづらさを感じる一人だ。 「物心つく頃から、家で両親がしょっちゅう喧嘩していて、子供ながらに親の機嫌をうかがいながら怯えて暮らしていました。さらに母からは『お父さんみたいにならないよう頑張って勉強しなさい』と口酸っぱく言われ、テストでいい点が取れないと叱責される毎日。『いい息子を演じ続けよう』とがむしゃらに勉強していました」  おかげで学生時代の成績は常にトップクラス。友人もできたが、竹井さんは「本当の意味で人と心を通わせたことがない」と語る。 「いつ相手の感情の矛先が自分に向くかわからないので、笑っていてもビクビクしているし、人を深く信頼できません。それに幼少期から『こう言ったら相手が喜ぶだろう』『人からこう見られなきゃいけない』とその場その場で取り繕うようなことばかり考えていたので、ときどき自分の感情がわからなくなるんです」

入社4年目、上司からの叱責で「何かが壊れた」

 大学を卒業後に有名企業に就職。順風満帆な経歴を送ってきたが、「だましだまし生きている」という感覚は日に日に強くなっていた竹井さん。入社4年目、上司からの叱責で「何かが壊れた」という。 「強い叱責ではなかったと思うんですが、ふと涙が溢れ『もう俺は社会でやっていけないな』と感じたんです。翌日には退職届を出し、引きこもるようになりました」  その後何度か再就職するも、人間関係や仕事がうまくいかなくなるたびに自分を責め、フェードアウトする道を選んできた竹井さん。現在は失業保険で生活を送る身だ。 [生きづらい病]の正体「親にはそんな現状をまだ話していません。まだ“理想の息子”でいたいのかな……」 「誰の心にもトラウマになりうる過去はある」という坂本氏。生きづらさを克服するためには、自覚のないまま放置された過去の心の傷と向き合う作業も必要なのかもしれない。

複雑性PTSDのセルフ診断リスト

□ 特定の時期の夢を何度も見る □ 喜怒哀楽の感情が薄いほうだ □ 感情を他人に出すのが怖い □ 思い出したくない過去がある □ 「自分なんかどうなってもいい」と思うときがある □ 昔の体験に関する人物(似ている人を含む)、場所、名前、時期に近づくのが怖い □ 安心できる人に対して、つい攻撃的な感情が出る □ 日々のなかで「現実感がない」と感じることがある □ 夜になると怖い □ 人を信じられない <0~2個> 0~2個ならば複雑性PTSDの可能性は低いと考えられるものの、過去のトラウマに対する自覚があるならば医師に相談すべき <3~10個> 複雑性PTSDの可能性が高い。すでに日常生活に支障が出ているケースも十分考えられるため、専門家への受診が推奨される 【精神科医・坂本 誠氏】 メンタルクリニック エルデ院長。日本で実践できる医師が少ない対人関係療法をもとに、PTSD、うつ病などの患者と日々向き合う <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!5月7日発売号「[生きづらい病]の正体」特集より
週刊SPA!5/14・21合併号(5/7発売)

表紙の人/ 福山雅治

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