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電車内での凶行に遭遇したらどうすべき?トラブル対処マニュアル

このところ、「拡大自殺」を目的とした放火や喫煙を注意した高校生への暴行事件など電車内での凶悪犯罪が相次いだ。もし遭遇した場合どうすればいいのか。専門家と考えた。

何かしたいと思う人はいる。声をかけ協力し合う態勢を

電車内トラブル対処マニュアル

画像:しずくβさん提供

 昨年10月31日の夜、会社員のSさん(32歳・東京都)は、渋谷のハロウィンを見物しようと京王線新宿行きの特急に乗車。乗客17人が重軽傷を負った“京王線ジョーカー男”による凶行が行われた電車だ。犯行は3~5号車で起き、乗客が6号車に乗っていたSさんの前を通過して逃げていった。 「犯人も見てないし、逃げてくる人たちは無言だったため事件が起きたことはわかりませんでした。『ピーピー』と通報ボタンが押されたらしき音も聞こえたが、初めて聞いたため確証は持てません。そうこうするうちに(5号車で)炎が上がったのが見え、火災だと思い、私も移動を始めました」

異常を察知した場合は非常通報ボタン

電車内トラブル対処マニュアル 交通技術ライターの川辺謙一氏は、列車内で異常を察知した場合、安全を確保した上で非常通報ボタンを押し、乗務員に状況を知らせるべきだという。 「非常通報ボタンには、インターホンで車掌と通話ができるものと、異常を知らせるだけのものがあります。電車が遅れてしまったらとためらう方もいるようですが、定時運行よりも乗客の健康や命が大事なのは当然のこと。斉藤国土交通大臣も、異変があれば躊躇せずボタンを押すよう求めています」  非常通報ボタンは痴漢や暴行などの犯罪行為、不審な荷物を見かけた際も活用すべきだという。ボタンが押されることが多いのは急病人の発生時だ。昨年5月、JR学研都市線で通学中だった大学生のNさん(19歳・大阪府)は、ボタンを押して急病人を知らせている。 「何人かが席を譲り横になっている人がいて、自分がボタンに近かったので押しました。乗務員に説明すると、次の駅で担架などの準備が万端になっていました」  このように、ボタンが押されても直ちに停車するとは限らない。連絡を受けた司令所の判断により、次の駅で対策をとる場合が多い。 「駅間で止めると皆が不安になってストレスを感じやすく、救急や警察も駆けつけにくい。そのため、異常が起きたときは駅に止めるのが好ましいです」(川辺氏)
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「非常用ドアコックを触らないほうがいい」理由
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