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電車内での凶行に遭遇したらどうすべき?トラブル対処マニュアル

「非常用ドアコックを触らないほうがいい」理由

 ジョーカー男による放火事件のあった京王線特急は国領駅で緊急停止したが、ホームドアがズレていたためしばらくドアが開かず、Sさんは窓からホームに脱出した。
電車内トラブル対処マニュアル

’21年10月31日夜8時ごろ、京王線新宿行きの特急車内で男が火を放った。炎から逃れて避難する人々(画像:しずくβさん提供)

 各扉には非常用ドアコックが設置されている。ふたを開けてレバーを動かすと、手動でドアが開く。 「大きな火災や地震でない限り、一般の方は非常用ドアコックを触らないほうがいいです。走行中だと転落の危険性があり、停車中であっても線路に降りるには高すぎ、対向列車が来る可能性もある。まずは非常通報ボタンを押し、乗務員の指示に従うのが順序です」  列車外が危険だとはいえ、凶悪犯罪の場合、密室の車内で逃げるのは限界がある。Sさんが避難した際には、連結部で人だまりができてしまったという。もし、凶器を持った犯人が追ってきたら、追いつかれてしまう可能性が高い。 電車内トラブル対処マニュアル

逃げるのが第一だが逃げるべきではない人も

 暴犯被害相談センターの加藤一統氏は、身辺警護のスペシャリストだ。列車内で起きる凶悪犯罪への対処を次のように説明する。 「誰でもいいから殺したいという犯行では、最初に狙われたら私のような専門家でも避けるのは難しい。ですから電車に乗るときは、スマホから目を上げて周囲を見るタイミングを作るべきです。事件が起きたらまず逃げるというのは正しい対処ですが、果たして『逃げる』だけで完結する社会はどうなのか。子供や老人、身体の不自由な人など、全員が逃げられるわけではない。また、立場的に逃げるべきではない人もいます」  保育士が引率する児童を置いて逃げるわけにはいかないし、親であれば身を挺して大切な我が子を守ろうとするだろう。加藤氏のような身辺警護の仕事もそうだ。
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刃物を持った相手に対応する方法
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