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やさしかった妻が突然、悪妻に豹変。むしろ離婚後に仲良くなれた理由とは

結婚当初は幸せだったのに、いつしか妻の攻撃的な言動が増え……

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妻が攻撃的な性格に変わってしまった理由がわからず、もがき続けた夫が得た気づきとは……?

 こんにちは。DV・モラハラ加害者が、愛と配慮のある関係を作る力を身につけるための学びのコミュニティ「GADHA」を主宰しているえいなかと申します。今回は、参加者の方から受けた相談について書きます。  結婚した当初はとても幸せだったのに、今では妻の攻撃的な言動が増えていくばかりの日々。妻が何故変わってしまったのか見当もつかずに戸惑うばかりだったが、ある日突然離婚を要求されてしまった──。  会社員の土井さん(仮名・40歳)は、激務の中でも家庭を守ろう、ふたりの子育てに関わろうと努力してきたのに、どうしてこの状況になってしまったのか……と頭を抱えている様子です。 「自分は夫としての役割を果たすために努力してきたつもりだったのですが、『あなたとは離婚する、子どもにも会わせたくない』と言われてしまって…さすがに納得できないので自分の両親も交えて話し合いをしたのですが、親に対してまで攻撃的な態度を取られてしまいました。結婚当初は『気立てが良くて優しい子ね』と妻を気に入っていた母親からも、『あっちのほうがモラハラじゃないの。あなたの方がかわいそう』とまで言われています。親が言う通りで、実は自分が本当に加害者なのかよくわからないんです」  土井さんはとても疲弊した様子で、おっしゃる通りどちらが被害者なのかわからないようにも見えます。しかしこれまでの記事でも述べてきたように、こちらでは相談者の言動をそのまま受け取ることはありません。「加害者の認識は偏っている」という前提で、パートナーの「攻撃的な」言動の原因を探っていく必要があります。

「専業主婦なのに、僕に子育てに協力しろだなんて」

 相談にもあるように「優しかったパートナーが変わってしまった」「相手のほうがモラハラのような言動をするようになった」というのは非常に良くあるケースです。パートナーの「気遣いができる」「思いやりがある」といった良い部分をモラハラによって奪ってしまう人がたくさんいるからです。 「土井さんは『あなたにこう言われて傷ついた』『やめてほしいことがある』『子育てや家事に協力してほしい』などと言われていたことはありますか?」 「確かにそんなこともありましたが……妻の言うことは普通なら気にするようなことではありませんでした。大袈裟なんですよ。専業主婦で働いていないのに、当たり前のこともせずにもっと協力しろなんて言われても。僕は外で働いているのに、これ以上何をどうすればいいのかわかりません」  ここで僕は土井さんがパートナーを傷つけ続けていたことを確信しましたが……皆さんにはどう見えるでしょう? 「あなたは『普通の人』『専業主婦』という概念と結婚したんですか?」 「えっ、いや、もちろんそういうわけじゃないですけど……」  彼は少し考えるようにして答えました。  しかし、土井さんがしていることは、実はそういうことなのです。普通はこうだとか、専業主婦なら当たり前とか、そんなことは何の役にも立ちません。土井さんと、土井さんのパートナーという2人が、どう生きていきたいかだけが大事です。土井さんは、パートナーに自分にとって都合の良い道具になって欲しかった。「普通は」、「当たり前」という言葉を使って。それは、人を深く傷つけることです。土井さんにとって、欲しいのは役割や機能であって、パートナー個人との人生ではなかったのですから。  自分を否定され続けた結果、土井さんに攻撃的になったパートナーは「変わってしまった」のではなく、土井さんがその行動によって優しさを奪い「変えてしまった」というのが真相でした。
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妻の訴えを適当にあしらっていたことが根本原因だった
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DV・モラハラなど、人を傷つけておきながら自分は悪くないと考える「悪意のない加害者」の変容を目指すコミュニティ「GADHA」代表。自身もDV・モラハラ加害を行い、妻と離婚の危機を迎えた経験を持つ。加害者としての自覚を持ってカウンセリングを受け、自身もさまざまな関連知識を学習し、妻との気遣いあえる関係を再構築した。現在はそこで得られた知識を加害者変容理論としてまとめ、多くの加害者に届け、被害者が減ることを目指し活動中。大切な人を大切にする方法は学べる、人は変われると信じています。賛同下さる方は、ぜひGADHAの当事者会やプログラムにご参加ください。ツイッター:えいなか

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