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大阪市「喫煙所120箇所」では足りない?「たばこのない万博」目指すも“消えない野良たばこ”

万博を見据え、大阪市内全域を路上喫煙禁止

新設された堂島公園の喫煙所

 今年3月、大阪市の松井市長は2025年に開催される大阪万博を見据え、市内全域を路上喫煙禁止とする旨を明らかにした。19年7月から施行されている大阪府受動喫煙防止条例では、国の法律である「改正健康増進法」(学校や病院、児童福祉施設などを全面禁煙)に上乗せする形で、22年4月からは従業員がいる飲食店は原則禁煙とし、更には2025年4月からは客席30㎡超の飲食店も原則禁煙とする予定である。  つまり、大阪市全域を路上喫煙禁止とすることで、たばこを吸えるのは、全国に比して極めて限定的となることが想定されている。建物内を禁煙にすることが世界的な潮流であることに異論はないが、屋外での喫煙には寛容な諸外国と違い、日本では屋外から規制を強めてきている。大阪府と同様に屋内での喫煙が厳しく制限されている東京でも喫煙所の整備が不十分なエリアでは、多数の喫煙ジプシーが発生し、周辺の路地裏やコインパーキングなど、人気のない場所での路上喫煙やポイ捨てが問題視されている。  屋内はもとより屋外も禁煙とする大阪市は、具体的にどれほどの数の喫煙所を2025年までに設置するかについては、現在120箇所で検討しているようであるが、今年9月1日から路上喫煙禁止地区に指定された堂島公園内に、大阪市が予算を捻出した初の公共喫煙所が設置された。利用状況を調査すべく、現地を取材した。

公設喫煙所第1号の状況を調査

公園の椅子が設置されている場所や死角には多数の吸い殻が…

 平日午後3時。梅田駅から大阪を南北に縦断する御堂筋を南下、大江橋の手前右手に位置する堂島公園は、公園というより川沿いの遊歩道という趣で、御堂筋からすぐ見える場所に件の喫煙所があった。  堂島公園に新しく設置された喫煙所は閉鎖型喫煙所で定員は10名とし、利用時間も8時〜20時と決められ、利用時間外は扉が施錠される。室内には大型の空気清浄機、空調が完備され、取材で訪れた時間帯は、常時5〜6名が利用しているという状況だ。喫煙所から公園奥に向かって10メートルほど進んだ先には、かつて屋外に設置されていたと思われる喫煙所の跡地があり、パーテーションには公園内は喫煙禁止区域であること、新設の喫煙所の案内を示す貼り紙がある。  さらに公園奥へと足を進めると、公園内の堤防沿いのエリアで喫煙をする人たちが散見される。また、公園に面する道路から、植え込み等で死角となっている場所には、多数の吸い殻が落ちていることも確認された。
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1400万円の閉鎖型喫煙所、設置の経緯
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