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現代人の疲れは「うつ病を引き起こしやすい」。脳の効率的な休ませ方を医師に聞く

 コロナ禍を機にリモートワークが浸透し、自宅や出張先、夜間や休日でもメールの返信やウェブ会議への参加が当たり前になっている人も多いのではないだろうか。多忙な日々のなか、仕事のミスの増加やパフォーマンスの低下が気になりはじめた人もいるかもしれない
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※画像はイメージです(以下同じ)

 しかし、「この状況を肉体的な疲労に当てはめると、過重労働しているときと同じ。うつ病や適応障害の引き金にもなりかねない」と警鐘を鳴らす医師がいる。早稲田大学スポーツ科学学術院にて教授を務め、『休む技術』(だいわ文庫)などの著書もある西多昌規先生だ。効率的な休み方などについて詳しく話を聞いた。

出勤しないのに脳が休めない

 2019年4月に施行された働き方改革関連法、そしてコロナ禍により働き方が多様化。職場への出勤が当たり前だった少し前とは状況が変わり、テレワークを中心に在宅勤務をする人が増えている。それに伴い、「疲れの種類も変化している」と西多先生は言う。 「独身の方、家庭がある方などそれぞれだと思いますが、30~40代だと仕事も忙しくなる時期。コロナ以前は会社や現場に出勤しての働きすぎが問題でした。コロナ以降はリモートワークを導入した企業も多く、医療現場や配送業など一部を除いては現場での働きすぎは減っています。ただ、脳にとっては、いまのほうが休みを取りにくい環境です。  というのも、出張中でもオンライン会議なら場所を選ばないからと出席を求められたり、夜間や休日も関係なく届くメールについ返事を返してしまったり……と、1日中ずっと仕事をしている感覚の人が増加しているからです。さらにテレビにスマホと、脳が休む時間が削られているのが実情です」

働き方とともに疲れも多様化

西多昌規

医師であるとともに早稲田大学スポーツ科学学術院にて教授を務める西多昌規先生

 職場に出勤していたときには帰宅後や休日は完全に休みだった人も、オンラインでの作業が可能になったことで“仕事と休み”の境界線が曖昧になっているケースも多い。こうした状況が続き、気づかないうちに疲れの限界を超えていることも少なくないのだとか。 「昔は職場にいないとできない作業が多く、昼休みには休憩をして帰宅後や休日は完全に休みというわかりやすい状態でした。それに、肉体的な疲労の場合は体が疲れるので自然と休憩を挟んだり、仮眠や睡眠を取ったりする。それが普通。“休み方”が問題になることはありませんでした。  でもデスクワークの場合は、消費カロリーも1日100kcalぐらい。肉体的な疲労がないため疲れを実感しづらく、なんとなく作業を続けられます。そのため明確な休憩を取らずにいつまでも継続してしまい、気づいたときにはうつ状態になっているという怖いケースもあります」
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疲れのサインと休まないデメリット
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フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意

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