ホンダの“N-BOX依存”は危うい兆候か。「徹底的なコストカット」の功罪
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会によると、2022年度(2022年4月から2023年3月)において最も売れた自動車は、ホンダのN-BOXで204,734台でした。2位のダイハツ・タントと8万台以上の差をつける圧倒的な人気。軽自動車においては、8年連続で首位を獲得しています。
2011年12月に発売し、2014年3月に累計販売台数50万台を達成したヒットモデルですが、ホンダはN-BOXへの依存度が高く、危うさも漂います。
ホンダは2023年3月期の売上高を前期比18.5%増の17兆2500億円と予想しています。トヨタに次ぐ国内第2位の自動車メーカーで、旺盛に勢いを拡大している会社の一つであることは間違いありません。
しかし、二桁増で力強く業績を伸ばしているのは二輪事業。壊れないことで有名なスーパーカブや、それをベースとして各国にローカライズしたモデルが高成長を支えています。
国内の自動車販売台数を他社と比較すると、凋落している様子が浮かび上がります。
ホンダの2021年度の国内の自動車販売台数は54万7000台。スズキの56万1000台を下回りました。2017年度までスズキとダイハツを上回っていましたが、2018年度に追い抜かれます。2018年といえば、スズキがジムニーをフルモデルチェンジして大ヒットを飛ばした年です。
2022年8月末には、インサイトやCR-V、シャトルの国内生産終了を決めました。スーパーカーのNSXも販売を終了しています。ホンダといえば、1964年にF1レースへの出場を宣言し、1965年10月に初優勝を飾る快挙を成し遂げました。高い技術力がセールスポイントで、シビック、NSX、S2000、インテグラなど、1990年代は数々の自動車ファンを楽しませてきましたそれも、今は見る影がありません。
国内の販売台数の半分ほどは軽自動車。そして35%はN-BOXが占めています。N-BOXへの依存度が高いのです。
業績を伸ばしているのは「二輪事業」
勢いを失うホンダの自動車販売台数
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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