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ホンダの“N-BOX依存”は危うい兆候か。「徹底的なコストカット」の功罪

異色の社長が実行した“大改革”

 創業者・本田宗一郎氏の技術者魂が脈々と受け継がれてきたホンダは、自動車やオートバイを生み出す心臓部と言っても過言ではない本田技術研究所の社長を務めた人物が、本田技研工業の代表に就任するのが常識でした。本田宗一郎氏以外で、唯一その常識を塗り替えたのが2015年6月に代表取締役となった八郷隆弘氏でした。  八郷氏は、東日本大震災の年に国内3番目の工場である鈴鹿研究所の社長となりました。震災の影響でサプライチェーンが分断された中、新たな軽自動車のプロジェクトを立ち上げます。これが成長をけん引するN-BOXを生み出すきっかけとなりました。  合理主義者として知られ、F1の撤退を決断。世界で自動車を600万台生産するという方針を改め、国内外の工場の閉鎖にも踏み切りました。“ホンダイズム”の延長にない人物だからこそできた改革だと言えるでしょう。  しかし、その大変革の中でホンダファンが待ち望む自動車は現れず、N-BOXに依存する体制が出来上がりました。  2021年4月に八郷氏からバトンを引き継いだのが三部敏宏氏です。三部氏は本田技術研究所の社長を務めた生粋のエンジニア。その手腕が試されます。 <TEXT/中小企業コンサルタント 不破聡>
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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