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HSPの当事者が語る、“障害ではなく特性”ゆえのジレンマ

 障害者や難病のハンディを抱えた人との共生社会の実現に向け、世の中は動き始めている。だが、周囲に理解されず生きづらさに悩む実情をどれだけの人が理解しているだろうか。さまざまな生きづらさが渦巻くなか、認知を広げるべく当事者の声を聞いた。

障害ではない「HSP」の正体

新型「生きづらい病」当事者の本音

※画像はイメージです

 最近よく聞く「HSP」という言葉。HSPとは、「人一倍繊細な人」という意味の英語の頭文字を取った略語で、障害や病気ではなく個人の特性とされている。  とはいえ、重度になればその生きづらさは著しい。川田直美さん(50歳)は、「普通の生活音すら耐えられない」と苦悩する。 「特に音に過敏で、食事の店選びにも苦労しますし、結婚後も3年に一回は転居しています。光にも敏感で家の電気は暗め。テレビで流れるニュースにも気をつけており、例えば東日本大震災の映像などは見られない。映像が脳にこびりつき、PTSDになるのが目に見えるからです。人よりストレスを感じる機会が多く、毎日疲労困憊しています」  しかし、障害ではなく特性ゆえのジレンマもある。 「みんな普通に生活できているので『体調が悪くなるから静かにしてください』と言ってもわがままにしか聞こえず、その場から逃げることしかできない」

生きづらさの答えが「HSP」

 なぜHSPはここまで広がったのだろうか。 「原因がわからないことが最大のストレスなので、HSPと名前がつくことで特性が鮮明になり、受け入れることができるようになる。私もその一人です。自己診断できるので、生きづらさの答えを見つける拠り所になっているのがHSPなのです」
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未だ認知度が低い「ヘルプマーク」の課題とは
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