カプコンとセガで分かれた明暗。“脱パッケージ化”が分岐点に
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
ゲーム会社の中で、営業利益率が高い会社にカプコンがあります。2023年3月期の営業利益率は40%を超えました。任天堂は31.5%、スクウェア・エニックス(以下、スクエニ)が12.9%です。並みいる競合の中でも頭一つ抜けています。
一方で苦戦しているのが、老舗のセガサミーホールディングス。2023年3月期は増収増益を達成しているものの、主力のゲームが伸びきりません。
セガは2003年12月にパチスロメーカーのサミーに買収され、2004年10月に経営統合したセガサミーホールディングスが発足しています。現在の売上高は4000億円規模ですが、ゲームの他に遊技機、リゾートなどの複合的な事業を展開しています。
2023年3月期のエンタテインメントコンテンツ事業における、ゲーム販売などのコンシューマサービスの売上高は1879億円でした。
カプコンはゲーム事業とゲームセンターの運営、パチスロ機の製造販売を行っています。遊技機の売上規模は50億円程度と小さく、ほとんど影響はありません。2023年3月期のカプコンの売上高は1259億円。セガのゲーム事業と比較すると、売上規模は近いところにあります。
2社のゲーム事業の差は営業利益率の違いによく表れています。更に推移に注目すると、差をつけられる様子が如実にわかります。
2017年3月期はカプコンが15.7%、セガは10.3%でした。2023年3月期はカプコンが40.3%。セガが17.5%で大きく水をあけられています。
ゲーム会社はヒットタイトルに業績を左右されやすい傾向があります。最近だと、サイバーエージェントが『ウマ娘 プリティーダービー』をスマッシュヒットさせ、営業利益が1000億円を突破。一時的に時価総額が1兆円を超えました。
しかし、その勢いは急速に衰えて2023年9月期の営業利益は250億円を予想しています。時価総額は5000億円を割り込みました。ゲーム事業は当たり外れの確率が高く、計画や予想を立てづらいという特徴があります。
カプコンの業績は、『バイオハザード』と『モンスターハンター』という2つの強力なIPに支えられており、それを交互に組み合わせることで安定的な収益性を確保しています。
つまり、カプコンはウマ娘のような大ヒットタイトルを出して利益率を高めているのではなく、稼げるIPを上手く活用していることが一番のポイントなのです。
売上規模が近い2社ではあるが…
バイオハザードとモンハンで手堅く稼ぐカプコン
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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