お金

カプコンとセガで分かれた明暗。“脱パッケージ化”が分岐点に

大手ゲーム会社が抱えるジレンマ

 カプコンの営業利益率は2019年3月期まで10%台でした。2020年3月期に20%台にのせ、30%、40%と突き抜けていきます。利益率の向上は経営陣が思い描いていた通りのものでした。  カプコンは2018年3月期の決算説明時に、中期的な経営指標に「毎期、営業増益を目指す」という利益目標を掲げます。ゲーム会社の場合、売上目標(販売目標)に応じた開発費を投じます。大手ゲーム会社の開発費用は莫大で、投資額に見合わない収益が得られない場合、巨額の減損損失を計上することがあります。  経営陣や事業責任者にとって、これは恐怖以外の何物でもありません。必然的に売上目標を掲げてしまうのです。しかし、カプコンはそこからの脱却を図りました。

“脱パッケージ化”に成功

 どうやってそれを成し遂げるのか。戦略の一つがダウンロード販売による収益の拡大でした。売上額が大きくなりがちなパッケージから、利益率の高いダウンロードに移行したのです。  カプコンは2020年3月期に売上高が前期と比較して18.4%も減少し、815億円となりました。2019年3月期は1000億円の大台にのったにも関わらず、翌年には大幅に割り込んでしまったのです。  カプコンの2020年3月期のパッケージ売上は129億円。2019年3月期は359億円でした。半分以下まで縮小しています。その一方で、ダウンロードは426億円で3.9%増加しています。  営業利益率で見ると、2020年3月期は28.0%となり、その前の年の18.1%から大きく飛躍したタイミングです。狙い通り、“脱パッケージ化”によって稼ぐ力を高めたのです。
次のページ
セガはタイトルの磨き込みが必要?
1
2
3
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ