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高血圧もメタボも、基準が厳しすぎる?健康診断の“本当の見方”を医師に聞く

年に一度、体の状態を知らせてくれる健康診断に今、疑問の目が向けられている。厚生労働省が内容の見直しを検討するなど、「本当に効果があるのか?」という声が高まっているのだ。健康診断の結果は本当に鵜呑みにしていいのか。その裏にある“医療のホンネ”に迫った!

健康診断の「本当の見方」

[健康診断]の罠

写真の受診結果はイメージです

 健康診断では基準値によって我々の健康がジャッジされるが、本当にこの数字を鵜呑みにしていいのか? 医師が正しい見方を伝授する。 「日本の健康診断の基準値は、諸外国と比べて厳しすぎます。そして最大の問題は、男女差や年齢差を考慮せずに、一律で数字が決められていることです」  そう話すのは、東海大学医学部名誉教授の大櫛陽一氏だ。大櫛氏は約70万人を対象に調査を行い、国際的な統計的方法で“年齢別・男女別基準値”を算出しているが、その結果とは大きな違いがあるという。 「特に血圧とコレステロール値は加齢とともに高まっていくのが当然です。それなのに若い人と同じような低い数字を中高年にも当てはめて薬や精密検査を勧めるのは、病人をつくって薬を売りたい製薬会社や医師会の意向が大きい。過去には基準値を緩和する動きもありましたが、反発を受けて実現しなかったのです」

健康診断で偽陽性が出るのは仕方がない

 また、「健康診断は“多く拾い上げる”がコンセプトなので、偽陽性が出るのは仕方がない」と指摘するのは、米国内科専門医の山田悠史氏だ。 「そもそも全年代に同じ検査項目を受けさせているのが疑問です。例えば不整脈や心筋梗塞リスクを見る心電図検査も、若い世代で異常が見つかるケースはほぼありません。厚労省が廃止しようとしている胸部X線も、もとは肺結核の検査目的で始めたのを続けてきただけで、科学的な根拠があるかと言えば疑問です」  問題点も多いが、「健康意識の低い人が年に一回、意識を高める機会になれば、それはもちろん意義がある」(山田氏)のも事実。受けるからには正しい目を持ちたい。
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【血圧】50代男性なら1??までは普通
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