「繁忙期の夏は壮絶」特殊清掃業者が語る、“孤独死&ゴミ屋敷”現場の凄まじさ
65歳以上の割合が総人口の約3分の1を占める超高齢社会(2019年高齢社会白書より)に突入した現在の日本では、これまでにはなかった社会問題が浮き彫りになっている。そのひとつが高齢者の生活する住居のゴミ屋敷化問題だ。
ブルークリーン株式会社のカスタマーサービスを担当し、YouTube番組「特殊清掃chすーさん」で、特殊清掃の仕事について発信している鈴木亮太さんに、ゴミ屋敷や孤独死の実態について伺った。
特殊清掃業を行っているブルークリーンの元には、さまざまな規模の案件依頼が後を経たない。全体の半数ほどを占める“家の大規模な片付け”以外にも、引っ越した後の部屋の消臭や火災現場の復旧といった施工の依頼が、1日あたり多いときは3、4件ほど舞い込んでくるという。
梅雨が明けると、業界の繁忙期でもある夏を迎えることとなるが、海開きの季節の到来とともに徐々に増えてくるのが、孤独死に関連する案件の依頼だ。
「孤独な最期を迎えられる方は季節を問わずにいらっしゃるんですけど、気温の高い夏場はご遺体をそのままにしていると、やがて家の外にまで凄まじい腐敗臭が漂ってくるようになるので、孤独死の実態が明らかになりやすい。そんな事情もあって、近隣にお住まいの方が異変に気づき、私たちの元にご連絡をいただくケースが増えてくるんです」
鈴木さんによると「繁忙期を迎える夏場には、孤独死に関連する清掃業務の依頼が全体の約40〜50%に及ぶこともある」そうだが……。
気温40度に迫る猛暑の中、強烈な悪臭の漂う過酷な環境での作業は、想像を絶するものだという。
日本では「特殊清掃」の一部として扱われる孤独死の現場における清掃作業だが、国際的には「バイオリカバリーの中にあるトラウマシーンに含まれる清掃作業」に該当し、高い技術水準が求められる業務だ。専門性の高い技術を有し、これまでに数々の現場を目撃してきた鈴木さんの経験によると、孤独な最後を迎えられる高齢者にはいくつかの傾向が見られるそうだ。
「孤独死をされる方は、単身でお住まいになられていて、近隣の方との付き合いがあまりなかったり、年金や生活保護の受給者であったりするケース。何かしらのご病気や疾患を抱えられている方も多いように感じています。実際に現場を清掃していると、飲み残した向精神薬が出てくることも頻繁にあります……。単身世帯であれば、少なからず孤独死の可能性はあると思いますが、周囲との関係が希薄で、さらに心身の健康状態が芳しくない方は、より孤独な最期を迎えられるリスクが高いと感じています」
病気や体力の低下によりゴミを出せなくなった高齢者の生活環境が徐々に悪化して“ゴミ屋敷”と化したり、ゴミが積もった家の中で孤独死していたりするケースは近年、後を経たない。
東京都大田区を拠点とする
現場作業から見える実態
孤独死する高齢者の生活
エンタメ関係のイベントプロデューサーを経て、ライターとしての活動を開始。 編集業務のほか各企業のメディア運営などに携わる
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