山﨑賢人は“トム・クルーズ以上の俳優”ではないか。「スターでい続けられる理由」を考察
今年9月7日に山﨑賢人が30歳になる。あの賢人君がアラサーだなんて、ほんと早いなぁ。デビュー以来、未だその勢いが一度たりとも弛緩したことがない俳優人生って、近年ではちょっと他に例が思いつかない。
激しいアクション場面で目を引くシリーズ作品をいくつも掛け持つことこと自体、尋常じゃない。その上で素朴な疑問。彼はなぜスターでい続けられるのか?
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、加賀谷健が、実写化俳優としての足跡を追いながら、日本を代表するスター俳優・山﨑賢人の現在を読み解く。
映画や音楽についてコラムを書いたり、ときにはプロダクション自体に関わっていると、たまにいいことがある。2024年早々、とある現場にて早くも幸運が舞い込む……。2010年、16歳のデビュー当時からずっとリアルタイムで見てきた山﨑賢人と新年の挨拶を交わすことができたのだ。
憧れのその人は、イケメン研究を続けるぼくにとっては、唯一、ジャーナリズムの対象としてきた俳優だ。そんな彼を前にするタイミングが、こうもピタッとさりげなくやってくるものなのか。ほんとそっけないくらい。
積年の思いを伝えることもできたはず。なのに不思議と冷静な自分がいる。「明けましておめでとうございます」なんて口にしてる。1分くらいだったかな。他に何を話したかは覚えていない。あの黒目勝ちな瞳をきらきらさせて軽妙に相手をしてくれる。洗練された神対応である。
間違いなく日本を代表するスター俳優だ。飾る素振りひとつ見せない。いい人感がにじみ出てる。だから売れるのだろうし、主演作品で座長を張り続けても周りがついてくるんだろう。神対応から感じたのは、そんな稀有な素質だ。ぼくは改めて、このスター俳優がなぜ、これまで(とこの先も)スターでい続けることができるのか、その理由を再考する必要があるように思った。
まず、ごく一般的な認識だが、彼のスター人生は、そのまま実写化俳優として足場を固めた初期に裏打ちされていること。映画デビュー作『管制塔』(2011年)ですでに主演を果たしていたとはいえ、続く松坂桃李主演の『今日、恋をはじめます』(2012年)では助演級だった山﨑が、2014年、剛力彩芽との『L・DK』で少女漫画を原作とする所謂“きらきら映画”俳優としての真価を問われることになる。
2016年公開の『オオカミ少女と黒王子』は、そんなきらきら映画の金字塔的なモニュメントだ。当時からぼくはそのことをずっと主張してきたが、忘れもしない、同作を年間ベスト作品だと胸を張ったら、周囲の映画人から総スカンだった、あの悔しさを……(以来、山﨑を通じてイケメンという存在について本気で考えるようになった)。
洗練された神対応
なぜスター俳優でい続けられるのか
コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションでR&B部門を立ち上げ、企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆。最近では解説番組出演の他、ドラマの脚本を書いている。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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