「つばさの党」はなぜ今逮捕されたのか。背景に潜む「小池都知事の存在」を考える
2024年4月28日に投開票された衆議院議員補欠選挙から約2週間が経過。永田町の話題は、静岡県知事選、そして今夏の都知事選、さらに近いうちに実施されるとの予測が広がる衆議院議員選挙の話題に移っています。
そんななか、東京15区の補選で話題を振り撒いた政治団体「つばさの党」の代表である黒川敦彦氏、幹事長で立候補した根本良輔氏、運動員の杉田勇人氏の3名が公職選挙法違反で逮捕されました。
選挙が終わり、すでに補選の話は口端にのぼらなくなっています。にもかかわらず、今になってつばさの党の3名が逮捕されたのはなぜでしょうか?
永田町や霞が関の取材歴が15年超のフリーランスライター・カメラマンの小川裕夫が現場取材を通じて見えてきた「東京15区の情勢」や「つばさの党の謎」について解説します。
2024年4月16日告示、28日に投開票された衆議院議員補欠選挙で、最も注目を集めたのが東京15区です。9名の候補者が乱立するという激戦だったことも話題になった一因ですが、政治団体「つばさの党」が擁立した根本良輔候補陣営の選挙活動が異様だったからです。
東京15区には、届出順に「福永活也(福永かつや)」「乙武洋匡(乙武ひろただ)」「吉川里奈(吉川りな)」「秋元司(あきもと司)」「金澤結衣(金澤ゆい)」「根本良輔(根本りょうすけ)」「酒井菜摘(酒井なつみ)」「飯山陽(飯山あかり)」「須藤元気」(※カッコ内は届出名)の9名が立候補しました。
福永候補は告示日に立候補の届出を済ませた後、エベレスト登頂のために日本を出国。実質的に選挙活動をしていません。
筆者は、福永候補を除く8人の候補者の街頭演説を繰り返し取材しています。その街頭演説の場で、根本候補本人やつばさの党の関係者に遭遇したことは1度や2度ではありませんでした。
通常の選挙戦において、候補者の街頭演説で場所がバッティングしてしまうことは珍しくありません。バッティングが生じた場合、多くは時間を区切ってそれぞれが納得できる形で譲り合いになります。
今回、つばさの党が他陣営の街頭演説に姿を表したのは、偶然に生じたバッティングではありません。他陣営の候補者たちの居場所を突き止めて意図的に乗り込んでいます。そして相手候補者の演説を妨害するように大音量を流し、演説内容を聞き取れないようにしたのです。
つばさの党は街頭演説に乗り込むだけではなく、相手陣営の選挙カーを執拗に追尾してカーチェイスのようなことも強行しています。筆者は、ほかの候補者が街頭演説をしているところに、つばさの党の選挙カーが突っ込んでくる様子を間近で見ています。かなり危険な行為でした。
道路上での危険な行為は、選挙を戦う人たちばかりではなく、まったく関係ないドライバーや歩行者を巻き込む危険性があります。そうした危険な行為が公職選挙法に違反するとして今回の逮捕に至ったわけですが、今後は道路交通法違反などにも問われそうです。
「つばさの党」の選挙活動が異様だった
つばさの党の選挙カーが突っ込んで…
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro
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