ライバル候補者の街頭演説に突撃…爆音で音楽を流す“選挙妨害行為”が法的に制止できず、警告に留まる理由
東京15区・島根1区・長崎3区の3選挙区で実施された衆議院議員補欠選挙は、2024年4月28日に投開票されて全選挙区で立憲民主党の候補が勝利しました。
2021年10月に発足した岸田文雄内閣は約2年半にわたる長期政権を築いていますが、内閣支持率は低迷を続けています。そのような状況を打破するためにも、岸田首相は3補選すべてを勝利したいと考えていたことでしょう。
しかし、自民党は東京15区と長崎3区で候補者を擁立できず、実質的に不戦敗を喫しました。また、自民党王国と言われてきた島根県での敗北は永田町にも衝撃を与えています。
このように話題に事欠かない3補選でしたが、世間的に注目されていたのが東京15区です。東京15区は江東区全域が選挙区で、9名が立候補者する乱戦になりました。
なぜ、東京15区が注目されることになったのか? 永田町や霞が関の取材歴が15年超のフリーランスライター・カメラマンの小川裕夫が現場取材を通じて見えてきた東京15区の情勢を解説します。
2024年4月16日告示、28日に投開票された衆議院議員補欠選挙は、冒頭で触れた通り東京15区・島根1区・長崎3区で立憲民主党が擁立した候補が当選を果たしました。
事前の情勢調査でも、立憲民主党候補者のリードが伝えられてきたことを踏まえると、選挙結果に驚くような点はありません。
自民党は裏金問題が収束せず、それらが大きく響いた形です。また、一時期は勢いのあった日本維新の会も大阪・関西万博の開催費用が膨れ上がり、それらを疑問視する声が強まっていた逆風に打ち克つことはできませんでした。
3補選は立憲民主党の勝利に終わりましたが、だからと言って岸田政権に決定的な打撃を与えたという雰囲気はありません。なぜなら、連立を組む公明党が動いたのは島根1区だけだったからです。公明党票が、どの候補に流れるのか? その行方次第で情勢は大きく変わります。今回の3補選は立憲民主党に追い風が吹いているというわけではないのです。
今回の3補選で筆者が注目したのが東京15区です。東京15区には、届出順に「福永活也(福永かつや)」「乙武洋匡(乙武ひろただ)」「吉川里奈(吉川りな)」「秋元司(あきもと司)」「金澤結衣(金澤ゆい)」「根本良輔(根本りょうすけ)」「酒井菜摘(酒井なつみ)」「飯山陽(飯山あかり)」「須藤元気」(※カッコ内は届出名)の9名が立候補しました。
福永候補は告示日に立候補の届出を済ませた後、エベレスト登頂のために日本を出国。実質的に選挙活動はしていません。
筆者は福永候補を除く8人の候補者の街頭演説を取材しましたが、東京15区の結果から見えてきたのは地盤が威力を発揮したということです。
立憲民主党に追い風が吹いているわけではない
地盤が威力を発揮した「東京15区」
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。首相官邸で実施される首相会見にはフリーランスで唯一のカメラマンとしても参加し、官邸への出入りは10年超。著書に『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)などがある Twitter:@ogawahiro
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