「最近は『元首相の孫だったの?』と驚かれます」宮澤エマは10年のキャリアを積んで“実力派女優”の道へ
『Destiny』『マウンテンドクター』と2クール続けて連続ドラマのメインキャストを務め、舞台初主演作『ラビット・ホール』(23)で読売演劇大賞優秀女優賞を、『ラビット・ホール』と『オデッサ』(24)で菊池一夫演劇賞を受賞した宮澤エマさん。
これまでの主戦場のイメージだったミュージカルに加え、映像作品やストレートプレイ(歌唱を含まないセリフ劇)でも評価と人気を高めている。デビュー当初、「宮澤総理の孫」としてテレビに登場していたことは、すでに多くの人の記憶にないかもしれない。
現在は、三谷幸喜さんが長澤まさみさんを主演に監督を務めた出演作『スオミの話をしよう』が公開中。三谷さんや長澤さんとの仕事の感想や、ミュージカルデビューから丸10年を超えた今だからこその、デビュー当初からの思いを聞いた。実は中身は「ちびまる子ちゃん」という素顔も明らかに。
――宮本亜門さん演出のミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング 〜それでも僕らは前へ進む〜』(13)で初めて舞台に立ってから、丸10年を超えました。それ以前に宮澤さんは、故・宮澤喜一元首相の孫の肩書きで、テレビのバラエティ番組に登場しています。
宮澤エマ(以下、宮澤):自分の名前を知っていただくことが、やりたいことに向かっていくひとつのきっかけになるということで、バラエティ番組やクイズ番組、報道番組にも出ていた時期がありました。ただ、私はタレントではなく当時から歌やお芝居、表現の場に出ていきたいと思っていました。そんな私が、どういった自分を出すことが正解なのか、正直分からない時がありました。私自身は「ちびまる子ちゃん」のような人間で、特にしっかりもしていない。そんな自分自身と「首相の孫」との融合が分からなかったんです。
――「ちびまる子ちゃん」のような、とは? 宮澤さんにはお姉さんがいますね。
宮澤:そうです。実際、まさに私は妹タイプ。8月31日になっても夏休みの宿題をやってなくて、みんなに見てもらうとか、忘れ物もしょっちゅう。宿題も「やってない、やばい!」と、学校のトイレで慌ててやる。ちょうどこの前も、そんな話を母にして驚かれました。「私はもしも宿題をやってなかったら、正直に言うしかないと思っていたけれど、エマちゃんはトイレでやってたの?」と。姉も母と同じだと。長女タイプにはない発想らしくて。普段はぼ~っとしてるんですけど、なんだかんだ上手く立ち回ってギリギリのところでどうにかなるから学習しないんです(苦笑)。それと、私、求められていることに適応する能力はあるんです。たぷん。そこは育ってきた環境も関係してるのかなと。
――というと。
宮澤:日本とアメリカを行ったり来たりしたり、転校を繰り返してきたこともあって、その場では何がベストなのかを、結構すぐに察知してブレンドしてしまうんです。特にバラエティ番組の台本のないアドリブ合戦のような場では、「ちょっとプライドの高そうなお嬢様キャラでやってほしいんだな」とか。(竹下登元首相の孫として一緒に出演することの多かった)DAIGOさんじゃないけど、“消費税”みたいなネタが必要なのか、とか。求められていることが理解できちゃうんです。でも……。
――でも。
宮澤:求めてもらっていることに沿ってやりたい自分と、一生懸命に祖父が築き上げてきた名前を、自分の親も生きている時代にあまりにもイメージが崩れるようなことはしたくないという自分、そしてさらに本来の、普通の私生活での自分の融合がよく分からなくなってしまって混乱してしまったんです。
忘れ物もしょっちゅう。典型的な妹タイプだった
“求めてもらう自分”と“本来の自分”の間で混乱したことも
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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【公開情報】
『スオミの話をしよう』は全国公開中 公式サイト https://suomi-movie.jp/
(C) 2024「スオミの話をしよう」製作委員会
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〆切:2024年10月2日
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