更新日:2024年10月20日 16:44
お金

“超極上車”に仕上げた中古ベンツの「5年間にかけた整備費」を算出。月の支払額は新車ミニバンと“ほぼ同額”に

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。  私は、昔からモノを買うときに、必ず残価率を考えているのですが、そうすることによって「高いモノ」を買っても「実は大丈夫」ということに気づきます。現在世の中で当たり前になっているとはいえ、クルマなどはその最たる例。残価設定ローンという買い方はメジャーだといえます。  残価設定ローンは、将来の価値を算出して、月々の支払額を減らすといった内容。「購入額-将来の価値=実際の支払額」とすれば、月々の支払いを減らせるわけで、より高級なクルマに乗ることが可能なわけです。  そして私は、「購入額-将来の価値=実際の支払額」という考え方をありとあらゆることに実施。特に腕時計の場合、実際の支払額がプラス、つまり儲けになるということを狙ったりしています。  そんな私でありますが、この5年、「残価」ということ以外の買い方を実験してきました。というのも、腕時計とは違い、クルマを買う場合に「残価を気にする」ということを重視していると、買える車種が限られてしまうからです。私は、もっと自由に自分が好きなクルマを買って楽しみたいため、どうすればいいか、と考えた次第であります。

メルセデス・ベンツ S500L W140中期型

残価と同様に検討したい維持費

 クルマに安く乗るためには、どういったことをする必要があるかというと、「残価」に加えて「整備代」の安さが需要であります。残価についてですが、既に価値が0円に近い状態となっている車種であれば、残価率をあまり気にする必要はありません。また、維持費については国産高級車であれば壊れる可能性が低いため、整備代はあまりかからない可能性があります。  これまで私は、ロールスロイスから日産マーチまで、様々な中古車を売り買いしてきましたが、「安い本体価格」「かからない整備代」という買い方の最終形態が、2017年に購入した「38万円のセルシオ」でした。  そして、今回発表するのは、その「38万円のセルシオ」の次のステージであります。

W140を惜しげもなく整備してみた結果

 私は、2019年にW140型メルセデス・ベンツS500Lを購入し、現在に至るまで、惜しげもなくありとあらゆるところを「良く」してきたのですが、現在のW140の状態は、世界的に見ても稀なレベルでの超極上車になったといえます。  W140という車種は、1991年にデビューしてから1998年に生産終了になったわけですが、こういった世代は現在「ヤングクラシック」と呼ばれています。現在のクルマとは違った雰囲気が、今では逆に新鮮に感じられるわけですが、多くの人は「魅力的」と思ったとしても、実際に買おうとは思わないはずです。というのも、こういった古いベンツを買ったら「いかにもお金がかかりそう」となるからでしょう。  さらにその「お金がかかる」という部分は、まさに整備代。クルマは、いくら整備代をかけたとしても、その価値は“ほぼ上がらない”といえるため、多くの人は「整備代」をかけたがりません。さらに、整備代は万円単位と高額である場合が多いため、愛車に不具合が生じると、それをきっかけとして「乗り換える」という人が多いのだと思います。  実際、私も2005年から2018年に至るまで「整備代がかからない」ということを最も重要視していました。その間、購入した中古車としては、日産レパードJフェリーが購入額プラス10万円で売れたという成功事例がありますが、もしも整備代がかかったならば、その10万円はパーだったと思います。  そんな私は、2019年に購入したW140から「整備代をかける」という方針に転換。なぜそうしたかというと、先程も述べたように残価を気にすると好きなクルマに乗れないからです。また、もう1つ重要な点として、結局クルマはそれなりに維持費がかかるという結論になったからです。つまり、どんな乗り方をしたとしても、月額換算で2万円、3万円といった金額がかかるのは仕方がないのであります。  また、多くの人はクルマに対して3万円以上かけていることだと思います。推測ではありますが、メジャーな買い方は、『新車もしくは新しい年式の中古車を買って、ローンで乗る』ということでしょう。おそらく、軽自動車であれば2万円~3万円程度、普通車ミドルクラスで6万円程度、高級車で10万円~15万円程度といった月々の支払額となっているかと思います。  そうすると、W140のようなヤングクラシックを買った場合、一体月々の支払額がいくらになるのか。もちろん、整備をしないでケチって乗ることもできるでしょうが、惜しみなく整備をして「大満足な状態」で乗った場合、どのような月々の支払額になるのか、私は興味を持ってしまったのです。  そして今、ほぼ完成形に近づいているW140。それに、かかった金額が算出できたため、今回、それを公開したいと思います。  ちなみに、W140に限らず、ヤングクラシック世代は、マイナス方向への価値変化が少ない車種が多いため、残価率という観点では新しい年式のクルマよりも有利。ただ、古いクルマであるため「整備代」が未知数だから多くの人は手を出したくないのでしょう。それを今回可視化した次第であります。

コンチネンタルタイヤに履き替えたW140

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W140 2019年⇒2024年の整備代合計
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


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