JKリフレで下がる性産業参入のハードル
◆新たな層を取り込んだJKリフレの闇
「JKリフレは、性サービスに参入する少女たちの間口を広げた」と語るのは、長年少女売春の取材を続けてきたルポライターの鈴木大介氏だ。
「これまで援デリなどで売春をしていたコというのは、家出少女など生活費自体を稼がなければならない切実なコがほとんどでした。でも、JKリフレで働いているコは、お小遣い程度の稼ぎで十分というケースが多い。そのため、これまで男性相手の仕事を敬遠していたようなタイプの女のコも『リフレなら楽に稼げる』という口コミだけで、気軽に足を踏み入れてしまっています。ですが、入り口は気軽でも、出口はない。結果、18歳を迎えると、本格的に風俗産業に身を投じてしまうコは少なくない」
一方で、ワリキリ(売春)女性へのインタビューをフィールドワークとする評論家の荻上チキ氏も、ワリキリ層との違いを指摘する。
「JKリフレで働く少女たちはワリキリ層とは違い、現時点で生活困窮だという人の割合は少ないと見ています。ワリキリには抵抗があるが、マッサージぐらいならという層も多い。ただ、比較的ライトな仕事でも、’09年に発生した耳かきエステのように、事件に巻き込まれる可能性は常にあります。それに風俗産業というのはよくできていて、“JKを卒業したら、その次”と、年齢に応じて系列店内で回していったり、抵抗感をなくして段階的に抜けにくくするケースも。たとえJKリフレが廃れたとしても、“JK”に需要と供給がある以上、すぐに次の業態が生まれるでしょうね」
実際に「JKお散歩」など新手のサービスも登場。少女たちの働く場は一向に減る気配を見せない。
「安易な摘発は、業態を複雑化させるだけで、根本的な解決にはなりません。むしろ、問題視すべきは家庭環境。風俗で働く少女たちには親に問題があるケースも少なくなく、僕が取材した中には“女3人産めば家が建つ”と子供をお金稼ぎの道具にしか考えていない親もいました。JKリフレなどのソフト風俗にしても、多かれ少なかれ、こうした家庭環境に問題がある少女は多い。そうした子供を社会全体でどうケアしていくかが重要です」(鈴木氏)
一斉摘発を受けてもなお、雨後のたけのこの如く登場するJK風俗。少女に伸びる魔手を根絶するには、多くの課題が山積している。
【荻上チキ氏】
評論家・編集者。「シノドス」編集長。政治経済から社会問題まで幅広いジャンルで取材、評論活動を行う。著書に『彼女たちの売春(ワリキリ)』(小社)など多数
【鈴木大介氏】
ルポライター。「犯罪する側の論理」をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場を取材。近著に6年半の取材を基にした『援デリの少女たち』(宝島社)
取材・文・撮影/鈴木大介 高下けあき
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