漫画家・山本直樹が熱弁「アラサーちゃんの魅力はキャラの黒目にある」
『恋のから騒ぎ』の元メンバーとしてAVに電撃出演、一躍話題になったのが’05年。そんな峰なゆかがいまや売れっ子の漫画家に! 現在は有名人にもファンが多い著書『アラサーちゃん』。その人気を専門家たちが分析する。
◆『アラサーちゃん』にはまた見たくなる、萎えるほどの“怖さ”がある
繊細なタッチで人間の“性”を描写する巨匠・山本直樹氏は、「怖いもの見たさで、つい」と『アラサーちゃん』をめくる。
「どのキャラの表情にも愛嬌があるよね。でもほら、目が真っ黒に塗りつぶされているでしょう。『黒目』って、キャラの個性を強く見せる効果があるんだけど、その半面、感情を読み取りづらくする表現技法なんだよ」
この「黒目」が作品に深みを与えているという。
「女性の内面を描いているように思えるけど、黒目で描いているから本心までは見えてこない。心の奥に何か隠しているんじゃないかって勘ぐってしまう。Jホラーも直接的な描写を避けて、あえて観客にイメージさせることで恐怖を煽るでしょう。あれに近い。アラサーちゃんには男心が見透かされているのに、僕たち男性は女性の本性について結論には達しない。……ちょっと鳥肌もんですね」
また『アラサーちゃん』の深読みに山本氏は警鐘を鳴らす。
「女性の本心が掴めないのに、女性を理解した気になる読み方が一番ダメだよね。いい意味で“女をわかった気になるなよ”って教えてくれる漫画でもある。深読みしてハウツー本にしちゃうと、女性に対して疑心暗鬼になってしまうかも。セックスのとき、萎えちゃうね(笑)」
【山本直樹氏】
漫画家。’60年生まれ。過激な性描写が作風の漫画家。『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)のスーパーバイザーを務める。代表作に『BLUE』(同)、『レッド』(講談社)など
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