プロが育ちやすい、サッカーレビュー界の事情
いいモノを求め、あるいは“ハズレ”を引かないため、参考になるのがネットのレビュー。が、誰もが“発信”できるゆえ、読むに値する情報の選別は大変!? そこで各界のプロもチェックする熱量高い素人レビューを紹介。レビュー事情は業界の鏡でもあった!?
【サッカー】レビュアーが育ち、プロになりやすい歴史と文化的土壌
素人のレビューが想像以上に多いサッカー。自身もウェブサイト『サポティスタ』の活動を機に、サッカーライターの活動を開始した岡田康宏氏は「ネット発の書き手が業界には多いですよ」と語る。
「ネットの普及時期と、Jリーグ発足後にサッカー関連のメディアが拡大していく時期が重なるんです。専門の記者が少なく、媒体は書き手を探していたので、ネットでサッカーを書いていた人間がプロになっていった。サッカー専門紙『エル・ゴラッソ』の創業社長もネットの書き手出身ですし、『あのハンドルネームは君だったの!?』ということはよくあります」
そんな土壌のほか、素人レビュアーにはプロにはない強みもある。
「なでしこリーグや地域リーグなど、プロが採算面で仕事では書きにくい試合も、サポーターは観戦しますし、そのレビューを書ける。また、一つのチームを十数年追いかけているサポーターの文章は当然、濃くなりますし、指導経験者のブログなどもやはり面白い」
そんななかでも、ここ数年、ネットで絶大な人気を誇るサッカーブロガーがpal-9999氏だ。
「面白いサッカーレビューは、独自の切り口、その人だけの情報が必要だと思うんですが、palさんのブログは、試合映像のキャプチャー画像やフォーメーションの図に、手書きの分析を書き足したりといった、ネットならではの手法の使い方も上手です」
なかでも代表戦のレビューなどはSNSで幅広く拡散されている。
「特にその戦術分析は非常にロジカルで説得力があるんですよ。サッカーの戦術分析って、そもそも“正解”がない。でも、彼の文章はサッカーに詳しくない人が見てもわかりやすく、なるほどと納得させられる。ときに、『あの解説はどうかと思う』という激論の対象になるんですが、それもその分析が優れているからなんですよね」
【岡田康宏氏】
サッカー情報サイト『サポティスタ』管理人、『サッカーキング』プロデューサー。アイドルファンとしても知られ、近著に『アイドルのいる暮らし』がある
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