音楽ライターが認める素人ネットレビュアー
いいモノを求め、あるいは“ハズレ”を引かないため、参考になるのがネットのレビュー。が、誰もが“発信”できるゆえ、読むに値する情報の選別は大変!? そこで各界のプロもチェックする熱量高い素人レビューを紹介。レビュー事情は業界の鏡でもあった!?
【音楽】YouTube貼り全盛だからこそ、言語化された批評が光る
「チェックしていたレビューブログがただのYouTube貼りになってしまっているのはよくある」とは音楽ライターの石井恵梨子氏。
“聞いたほうが早い”のが音楽レビューの持つジレンマだが……。
「ロックスター、ポップスター不在、皆が語りたいと思うヒット曲も少なく、オタク化している傾向もあります。でも、『おススメ!』の一言ではすまない、自分の感動が何だったのかを言葉にすることにカタルシスはあるし、それが批評の原点だと思うんですけどね」
そう語る石井氏がチェックしているのが以下の2人。
「レジーさんはアイドルからロック、ポップスまで音楽シーン全体について、愛のある批評をされる方。アイドルをバカにするロックファンとか洋楽至上主義の中年など、固定観念をバスッと斬ってくれる。YouTubeの挿入も効果的でネットレビューならでは。一方、圧巻の情報量と知識量を誇るのが『Lエルトセブン7 第2ステージ』の森田さん。私、ここで新譜情報を知ることもあります(笑)」
<素人ネットレビュアー>
【レジーさん】ルーツは中3の社会のリポート!?
●レジーのブログ:http://regista13.blog.fc2.com/
司会者がレジーにインタビューをするという形式で、例えば、ROCK IN JAPANの歴史と変容など、音楽シーン全体を考察。開設から1年。今では、アーティスト自身からの反応もあるほどに。
「ツイッターだけだと考えが140字単位に断片化される感があり、自分の考えをまとまった分量でアウトプットする場をとの思いでブログを始めたんです。興味があるのは音楽が世の中でどう受容されるのか?という構造。中3のとき、社会の授業のリポートで『なぜCDが売れるのか』というテーマを選び、レコード会社にも取材をしながら1年かけてまとめたことがあります。今とやっていることは同じですね(笑)。音楽は10歳から聴き始め、以来、ずっと好きです。20年以上聴き続けていますし、これからも聴いていくのでネタは尽きません。能動的にいかないと音楽と接することが難しい今、ブログを読んで、『音楽面白そうだな』と思ってもらえたらうれしいかな」
<素人ネットレビュアー>
【森田真功さん】CD&書籍費月十数万円!? 歴史に残す使命感
●Lエルトセブン7 第2ステージ:http://aboutagirl.seesaa.net/
レビューは音楽のほか、漫画や書籍。’04年6月の開設以来、CDのジャケットなどの写真とテキストのみというスタイルを貫く。
「もともとは雑誌の投稿欄へ文章を送っていたんです。ブログを始めたのは、記録として残しておきたいという欲望から。マイナーな洋楽や文芸誌の読みきり作品などは、『なかったもの』になってしまうものもある。個人的にレビューとしてマイナーなジャンルが好きなのもあり、10年後に誰かが検索したとき僕のブログがヒットしたらいいなって。当初は月50本ほど更新していましたが、今は週1本程度。毎日1本は書いていますが、納得いかないものは載せたくないのと、とりあえず一回言葉にすると、気持ちはスッキリするので。
CDや本には月十数万円は使うかな。興味のある海外アーティストは本人のFBをチェックし新譜情報を入手。本も文芸誌、漫画誌は一通り購入します。中毒というか、そうしていないと不安で(笑)」
【石井恵梨子氏】
音楽ライター。洋邦問わず、パンクもメタルもロックもラウドでエッジのあるものを支持。週刊SPA!「カルチャー★フェス」のほか、『音楽と人』『indies issue』などに寄稿
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