特定ジャンル食べまくりの素人グルメレビュアーたち
いいモノを求め、あるいは“ハズレ”を引かないため、参考になるのがネットのレビュー。が、誰もが“発信”できるゆえ、読むに値する情報の選別は大変!? そこで各界のプロもチェックする熱量高い素人レビューを紹介。レビュー事情は業界の鏡でもあった!?
【グルメ】大好物に特化し、食べ続けた蓄積にはプロも脱帽
ネットのグルメレビューといえば、今や『食べログ』だが、「個人によるグルメブログも依然、増加傾向にある」と話すのはフードライターの里井真由美氏。
「食はどんな人でも無関係ではいられないジャンルです。そこにデジカメやスマホのカメラ機能の進化で、手軽に誰でもそれなりにキレイに撮れるようになって、ネットで食を語る人は増えたと思います。伝えたい“その一言”を考えるのには時間がかかるものですが、シズル感や湯気などは文章で表現するより、写真のほうがインパクトがあるのは確かですから」
なかには、グルメリポート番組よろしく、動画を挿入するブログまで出てきているとか。しかし、もとより味覚など個人の主観がすべて。数あるグルメレビューの中でプロは何を見ているのか?
「何かひとつのテーマに集中して書いている人ですね。例えば『かりん日記』のかりんさんは、もう1000個近くのパフェのレビューを書かれている。私は1万店以上の飲食店を訪れていますが、食べたパフェの数は1000にはならない。ほかにも、都内のモーニングメニューに特化した『東京モーニング日和』というブログもデータフォルダとして圧倒的です。何か好きなものに特化できるのは素人の方だからこそ」
加えて、その表現も、プロとはちがう素直さが魅力だという。
「五感で食べていると思わせるレビューは好きですね。例えばスパイスでも『刺激的』以外に、『辛みが心地良い』など、読み手に余韻やイメージを抱かせる。食の語り手ってどうしてもうんちくくさくなってしまう傾向があるんです。理屈よりも自分の“大好き”が前面に出ていたほうがいい。書く立場だとしても、大切なのは書き続けることで、好きでないと食べ続けられませんし、書き続けられませんから」
【里井真由美氏】
1級フードアナリスト、フードライター。着物で世界のレストラン取材やお取り寄せの連載など執筆多数。テレビ、講演など幅広く活動。行ったお店は1万を超える
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