電車好きの間で人気沸騰!? 「鉄コン」に潜入
7月7日の七夕、近畿日本ツーリスト・東武鉄道などが「THE 鉄コン in 日光・東京スカイツリー」を開催した。男女それぞれ128人という枠に応募が殺到し、「約140人がキャンセル待ち、うち約100人が女性」と運営スタッフが伝えるほどの人気ぶりだった。記者はその鉄コンの車内に潜入してみた。
◆出会いを求める男女の明と暗……往路・復路、車内ドキュメント
「鉄コン」は、「街コン」などと同じく、鉄道を舞台にしたコンパイベントで、近畿日本ツーリストではこれまで小田急(江ノ島方面)や西武(秩父方面)などとタッグを組んで開催してきた。
今回はその東武版。同社の看板列車「スペーシア」(100系)を使用し、東京スカイツリーと世界遺産・日光の両観光スポットを巡るというプログラムだ。
浅草から東武日光への往路列車は、さりげなく車両ごとに年代別で分けられていた。マッチングに配慮し、浅草寄りから20代、30代、40代とグループ分けされているという。
座席割りは、女性が窓側、男性が通路側となる。同性2名の応募が条件で、窓側女性2席と通路側男性2名で4人向かい合わせ席でトークタイムとなる。
「レモン牛乳? 何それ呑みたーい。キャハハキャハハ」などと屈託ない笑い声が聞こえて賑やかな20代の車両に対し、40代の車両は“慰安旅行”のような落ち着いた雰囲気。これには東武鉄道のスタッフも「年代で雰囲気がぜんぜん違う」と驚いていた。
この鉄コンには「席替え」が4回ある。通路側の男性がひとつずれ、次の出会いに再びテンションを上げていく。一方で、往路ですでに「こりゃ脈なし」と白旗を挙げたかに見える表情の男性・女性の姿もあった。ついには会話が弾まず、じっと車窓に目を向けてしまう人も……。
⇒【写真】「鉄コン」の様子はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=474009
さらには、盛り上がっているのか諦めたのか、車内販売で買い込んだビールや焼酎をあおる男女も現れた。東武日光駅に到着したころには、窓際にズラリと空き缶が並ぶ光景が見られた。
復路はさらにリアルだった。「脈アリ」の男女は100系「スペーシア」に設置されているコンパートメント(個室)で、さらに深い会話を楽しむ時間が設けられた。しかし、「脈ナシ派」の空気は重い。座席を向かい合わせにせず、横一列に同性が座り、異性とのコンタクトをシャットアウト。車内にはレールを刻む音のみが響いた。
◆成功率は”未知数”。今後の予定は……?
「この鉄コン、成功率については把握できていない」と近畿日本ツーリストの担当者。東京スカイツリーに近づくころの車内は、より接近して会話を愉しむ男女、ぐっすりと眠りにつく男女、まさに明と暗。その対比が残酷なほどに映し出されていた。
近畿日本ツーリスト担当者は、「この秋以降も首都圏の大手民鉄とコラボした鉄コンを開催する予定」と話す。首都圏でこうしたイベントに対応できそうな特急車両などを所有する私鉄となると、前出の西武の「レッドアロー」や、小田急の「ロマンスカー」、東武の「スペーシア」などがあげられるが、はたして京成の「スカイライナー」は……!? 「上野動物園と成田山めぐりで出会いを探る」などと勝手に妄想してみたり……。いずれにせよ、“鉄”の世界にも出会いブームは起きていた。 <取材・文・撮影/大野雅人>
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