関東唯一となった「丸広川越店」の屋上観覧車に乗ってきた【フォトレポート】
3月2日に45年の営業を終えた東急プラザ蒲田の屋上遊園地「プラザランド」。日刊SPA!でも終了直前に関東に2つしか残されていない存在になっていた屋上観覧車の勇姿を報じたが、蒲田が営業を終了した今、関東唯一の屋上観覧車はどうなっているのか? 早速、関東唯一の営業している屋上観覧車となった丸広川越店(埼玉県)の屋上遊園地「わんぱくランド」に足を運んでみた。(ちなみに“レトロな屋上小型観覧車”としては、日本で唯一となる)
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屋上遊園地には屋内ゲームセンターもあった。設備はUFOキャッチャーや釣りゲームなど、最新のプライズや筐体が充実しており、地元小学生は流行りのカードゲーム機に群がり、孫連れのおじいちゃんはプライズゲームに興じていた。
休日ということもあり、家族連れ中心だが、中には小学生だけのグループも。女子3人、男子3人の小学生グループが楽しそうに遊んでいる姿を、男子中学生3人組が「ちっ、リア充め」という視線を送っていた。暖かくなり始めたこの時期、屋上の開放感は老若男女が惹きつけられるのだろう。
◆営業し続けることはできるのか?
家族連れや小学生の姿も多く、大繁盛しているようにみえるが、関東唯一となった屋上観覧車はこのまま営業できるのだろうか? 勤続11年目というベテランスタッフの男性は「小さい頃に遊んだ記憶があります。これから新しく屋上遊園地を作ることはできないので、今あるものを守っていこうとがんばっています」と語り、観覧車を優しい目で見上げていた。観覧車のゴンドラは、ペンキの塗替えから10年以上経っているものの、鮮やかさは健在。スタッフの「守っていこう」という意識の高さが感じられた。
一方で、他スタッフからは「来店者は減っています。屋外のスタッフも以前は7人以上常駐いたのですが、今は人数を最低限に絞っています」という厳しい声も。実際、屋外には観覧車など大型遊具に1人ずつ、レールを走る遊具の前に1人と、4人前後のスタッフがおり、大型遊具に乗る人が途切れたときは「運転中」の札を掲げ、乗客が現れたスタッフが動かすという体制になっていた。
スタッフを少人数にしたものの、遊園地はまだまだ活気がある。勤続数年目の若いスタッフも「小さい頃にお父さんによく連れてきてもらっていました。観覧車はここが最後になっちゃったので、スタッフも『がんばらなくちゃ』と話しています」と、笑顔で意気込みを語ってくれた。
しかし、屋上遊園地の運営元バンダイナムコホールディングスは、今年3月までに国内約20のアミューズメント施設を閉鎖すると発表しており、ナムコのお知らせページには、「閉店のお知らせ」の文字がずらりと並んでいる(http://www.namco.co.jp/am/news/)。丸広川越店「わんぱくランド」については、「閉店のお知らせ」に名前はなかったが、4月からの消費増税で経営にも影響があると考えられ、今後のことはわからない状況だ。
◆有形文化財として残る可能性も
東急プラザ蒲田の屋上観覧車は営業終了し、目近で見ることはもうできないが、営業終了後もそのままの姿を残し、国の登録有形文化財となった屋上観覧車もある。名古屋栄三越の「国内に現存する最古の」屋上観覧車だ。現在は乗ることはできないが、当時のままの姿で保存されており、記念撮影をする客の姿も多いそうだ。また、「お子様遊園」として屋上遊園地自体は営業しており、バッテリーカーなどで遊ぶことができる。
まだ営業中の「わんぱくランド」だが、観覧車を「登録文化財に」という声は少なくない。記者も、今後消えていくだろう昭和遺産の一つとして、その姿を留め続けてほしいと願うばかりである。
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<取材・文・撮影/林健太>
丸広川越店があるのは、川越駅前から広がる商店街「クレアモール」のなか。1階は化粧品売り場、地下は食料品売り場となっており、川越近辺のマダムや小さな子ども連れの家族が多い。屋上にある「わんぱくランド」は、観覧車だけでなく、エアプレーン、モノレールなどの乗り物系が充実しており、川越観光のついでに訪れる観光客の姿も見られた。
今回、取材に同行してもらった姪と甥は大喜びで遊具に走り出したが、記者の方は遊具ではなくフェンスのほうに興奮気味に駆け寄り「すごい見晴らしだよ!」とちびっこそっちのけで大はしゃぎしてしまった。
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