“信長型”テスラの前に日本の“一揆型”EVは敗北決定!?
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
今、話題のEV(電気自動車)といえばBMW i3。日産リーフや三菱i‐MiEVを要する、わが国に送り込まれた欧州からの刺客ですが、一方で米国からも黒船が襲来中。それが今回乗ったテスラ・モデルSです。EVといえば、ハイブリッドカー同様に日本がリードしているとばかり思ってましたが、猛烈な敗北感を覚えました
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆テスラ・モデルSの戦略は織田信長。これが現状のEVの正解だと感じました
⇒【前編】はコチラ
BMWのi3やi8も、エリート志向をくすぐる方向で攻めている。リーフやi‐MiEVだと、「あら電気の検針?」って感じだけど、輸入EVから漂うのは、特権階級の気配だ。
価格は、一番上の「P85」で1080万円くらい。高いけど、このマセラティみたいなデザインや超斬新なインテリア、広い室内、その他周囲の驚きの声やら注目度の高さを考えたら、決して高くない。いや、EVの社会的ポジションを考えたら、これこそ正解じゃないか?
なぜなら、EVは、まだまだ広く普及するのはムリな贅沢品だから! 贅沢品は贅沢品らしく価格も高くないと! そして大衆の注目と羨望を集めて、「いつか乗ってやる」と思わせないと!
いわばテスラは信長型だ。まず京に旗を立て、そこから徐々に攻め下していくつもりなのだ。
日産リーフが目指したのはその逆、「フツーのクルマと違和感ないように」というフツー作戦だった。見た目もマーチみたいにフツーにした。値段もなるべく安くした。農民を動かして天下を狙う一揆型だ。
日本のものづくりは、この一揆型ですべて成功してきた。しかしEVの世界では、一揆は信長に平定されつつあるようだ。
【結論】
日本では軽やハイブリッドが快進撃中。EVは売れず儲からずなので国産EVを新規開発する気配はゼロだ。欧米では規制やらで、今後EVをやらざるを得ない事情があることを考えても、日本勢の敗退は決定的でしょう
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