更新日:2017年11月27日 22:04

“信長型”テスラの前に日本の“一揆型”EVは敗北決定!?

今、話題のEV(電気自動車)といえばBMW i3。日産リーフや三菱i‐MiEVを要する、わが国に送り込まれた欧州からの刺客ですが、一方で米国からも黒船が襲来中。それが今回乗ったテスラ・モデルSです。EVといえば、ハイブリッドカー同様に日本がリードしているとばかり思ってましたが、猛烈な敗北感を覚えました MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
テスラ・モデルS

高速道路ですれ違う際、多くのみなさんが指をさしたり、マジマジと見つめてくれました。こんなに乗っていて優越感に浸れたクルマは久しぶり。乗り心地もスバラシイです

◆テスラ・モデルSの戦略は織田信長。これが現状のEVの正解だと感じました ⇒【前編】はコチラ  BMWのi3やi8も、エリート志向をくすぐる方向で攻めている。リーフやi‐MiEVだと、「あら電気の検針?」って感じだけど、輸入EVから漂うのは、特権階級の気配だ。  価格は、一番上の「P85」で1080万円くらい。高いけど、このマセラティみたいなデザインや超斬新なインテリア、広い室内、その他周囲の驚きの声やら注目度の高さを考えたら、決して高くない。いや、EVの社会的ポジションを考えたら、これこそ正解じゃないか?  なぜなら、EVは、まだまだ広く普及するのはムリな贅沢品だから! 贅沢品は贅沢品らしく価格も高くないと! そして大衆の注目と羨望を集めて、「いつか乗ってやる」と思わせないと!  いわばテスラは信長型だ。まず京に旗を立て、そこから徐々に攻め下していくつもりなのだ。  日産リーフが目指したのはその逆、「フツーのクルマと違和感ないように」というフツー作戦だった。見た目もマーチみたいにフツーにした。値段もなるべく安くした。農民を動かして天下を狙う一揆型だ。  日本のものづくりは、この一揆型ですべて成功してきた。しかしEVの世界では、一揆は信長に平定されつつあるようだ。 【結論】 日本では軽やハイブリッドが快進撃中。EVは売れず儲からずなので国産EVを新規開発する気配はゼロだ。欧米では規制やらで、今後EVをやらざるを得ない事情があることを考えても、日本勢の敗退は決定的でしょう
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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