オリックス金子が驚いたメジャーの強烈応援
「自分の予想していた以上だった。ファンの応援も鳴り物がない中で自然と起きてすごいなと」
今季、沢村賞の栄誉に輝いたオリックスの金子千尋投手が、大リーグのワールドシリーズを生観戦し、現地ファンの応援について感想を語った。同シリーズでは、青木宣親の所属するカンザスシティ・ロイヤルズがサンフランシスコ・ジャイアンツと熱戦を繰り広げていた。
◆かぶり物・選手イジり・求婚etc……. 自由すぎるメジャーの応援
大リーグの応援は多種多様だ。日本でも一部で取り入れられているオルガン音やリズム音を流してのチャントや、球場を一周するウェイブ(自然発生する)はじめ、各自がユニークな応援スタイルを謳歌している。
第3戦から第5戦の舞台となったサンフランシスコのAT & Tパークは入り江に隣接し、いつ飛んでくるとも限らない場外ホームランボールを待ち受けるファンがクルーザーやカヤックで集合。この様子は風物詩となっている。
⇒【動画】http://www.youtube.com/watch?v=qf47wnyuMmk
観戦時の格好も人それぞれ。関係ないチームのユニフォームを着ている人もいれば、個性あふれる衣装のファンも。例えば、ジャイアンツの主砲パブロ・サンドバルは“パンダ”の愛称で親しまれているのだが、スタンドにはパンダの被り物を被ったファンが出没する。 ⇒【動画】http://youtu.be/qGKHuBVNq6g?list=PLL-lmlkrmJakIs2raUsm-bCoc7zY-aS6O
ファンの掲げるメッセージボードにはネタものも多い。今季流行ったのは、ジャイアンツのハンター・ペンスをいじるネタの数々。全米中で敵地のファンが「ハンターはスープをフォークで食べる」「ハンターは縦列駐車ができない」など、小馬鹿にしたネタをボードに掲げて話題になった。 ⇒【動画】http://youtu.be/SEdn-P83eRs
ファンがお目当ての選手に「私と結婚して!」と書いたメッセージボードを掲げるのはお馴染みの手法。ヤンキースのアレックス・ロドリゲスがスタンドの美女モデルと連絡先を交換し合ったのは有名な話だが、選手とファンとの距離が近く感じられることから、メジャーリーガーを射止めようとアピールする女性ファンも少なくない。 ◆スタンドではジャーニー本人がファンと大合唱! 鳴り物こそないものの、音楽も重要な応援ツールのひとつだ。球場にはちょっとした間に様々なヒット曲が流れ、ファンを楽しませる。今プレーオフで話題を集めたのは、ロックバンド「ジャーニー」の元ボーカル・スティーヴ・ペリーの名物“パフォーマンス”だ。 ジャイアンツの熱烈ファンというスティーヴは、今プレーオフの試合を地元サンフランシスコで毎日のように生観戦。自身のヒット曲「ドント・ストップ・ビリーヴィン」や「ライツ」が流れるたびに、スタンドの階段をものすごい勢いで駆け下りていって、その他大勢のファンと一緒に大合唱をして盛り上げた。アメリカの大ヒットドラマ『glee/グリー』でカヴァーされ人気が再燃している曲なので、おそらく当初は、ただヒット曲を球場に流すという目的だけでこの曲がかけられたのだろうが、急に本人が出てきて一緒に大合唱を始めたことから、「これは面白い」と恒例のショーとなったようだ。 ◆グラミー受賞曲も放送禁止に…徹底した!? 応援戦法 音楽による“応援”は場内にとどまらない。昨年デビューしたニュージーランドの歌手ロードは、世界中のチャートで1位に輝き、グラミー賞年間最優秀楽曲賞も獲得したが、その大ヒット曲の名前がずばり「ロイヤルズ」。サビでは「ロ〜イヤルズ♪」と連呼される曲だ。これには縁起が悪いと思ったのか、サンフランシスコの地元ラジオ局がこの曲をワールドシリーズ期間中、一時的に流すことを中止。この他にも、レポーターやDJが替え歌を作るなどの“対策”を講じて話題になった。 ◆犯罪抑止効果あり!? 地元警察もノリノリで応援ツイート こうしたユニークな“応援”は、話題が話題を呼び、ますますの盛り上がりをみせている。青木の所属するロイヤルズは、勝てば29年ぶりのワールドチャンピオン。本拠地カンザスシティも大盛り上がりで、地元警察までもが連日のように惜しみない応援ツイートを投稿し、ファンともやり取りを展開するほど。アメリカでは注目の試合が開催されている間は犯罪率が下がるというデータもあるので、そうした効果も見越してのことかもしれない。 プロ野球でも日本シリーズが開催中だが、日本の鳴り物つきの応援は、反対に外国人にとっては興味深いらしく、最近ではスタジアムに外国人ファンの姿も以前より多くみられるようになった。どちらの応援にもそれぞれの良さがあるが、選手や有名人と一般のファンとの距離は大リーグの方がより近い。 ◆ひと晩で160万円!選手がファンとバーで祝宴を開く リーグ優勝決定戦への進出が決まった夜、ロイヤルズの選手たちは、ツイッターでファンに呼びかけ、スタジアム近くのバーで飲み会を主催。500人以上のファンと交流し、およそ1万5000ドル(160万円)の飲み代を自腹で払ってファンに振る舞ったという。また別の日、青木はカンザスシティの飲食店で食事を終えて出て行く時、地元のファンに「ロイヤルズの躍進をありがとう」と拍手喝采で見送られたという。 皆で一体となって応援しようという気持ちは、選手も著名人も一般人も同じ。大リーグでは、それぞれが思い思いに楽しむことでさらなる盛り上がりをみせている。ワールドシリーズを戦うロイヤルズもジャイアンツも、フィールド外でもファンを楽しませ、ファンが楽しんでいるのが躍進の秘訣なのかもしれない。 <取材・文/松山ようこ(スポカルラボ)> http://www.facebook.com/SportsCultureLab スポーツをカルチャーとして表現するメディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる
観戦時の格好も人それぞれ。関係ないチームのユニフォームを着ている人もいれば、個性あふれる衣装のファンも。例えば、ジャイアンツの主砲パブロ・サンドバルは“パンダ”の愛称で親しまれているのだが、スタンドにはパンダの被り物を被ったファンが出没する。 ⇒【動画】http://youtu.be/qGKHuBVNq6g?list=PLL-lmlkrmJakIs2raUsm-bCoc7zY-aS6O
ファンの掲げるメッセージボードにはネタものも多い。今季流行ったのは、ジャイアンツのハンター・ペンスをいじるネタの数々。全米中で敵地のファンが「ハンターはスープをフォークで食べる」「ハンターは縦列駐車ができない」など、小馬鹿にしたネタをボードに掲げて話題になった。 ⇒【動画】http://youtu.be/SEdn-P83eRs
ファンがお目当ての選手に「私と結婚して!」と書いたメッセージボードを掲げるのはお馴染みの手法。ヤンキースのアレックス・ロドリゲスがスタンドの美女モデルと連絡先を交換し合ったのは有名な話だが、選手とファンとの距離が近く感じられることから、メジャーリーガーを射止めようとアピールする女性ファンも少なくない。 ◆スタンドではジャーニー本人がファンと大合唱! 鳴り物こそないものの、音楽も重要な応援ツールのひとつだ。球場にはちょっとした間に様々なヒット曲が流れ、ファンを楽しませる。今プレーオフで話題を集めたのは、ロックバンド「ジャーニー」の元ボーカル・スティーヴ・ペリーの名物“パフォーマンス”だ。 ジャイアンツの熱烈ファンというスティーヴは、今プレーオフの試合を地元サンフランシスコで毎日のように生観戦。自身のヒット曲「ドント・ストップ・ビリーヴィン」や「ライツ」が流れるたびに、スタンドの階段をものすごい勢いで駆け下りていって、その他大勢のファンと一緒に大合唱をして盛り上げた。アメリカの大ヒットドラマ『glee/グリー』でカヴァーされ人気が再燃している曲なので、おそらく当初は、ただヒット曲を球場に流すという目的だけでこの曲がかけられたのだろうが、急に本人が出てきて一緒に大合唱を始めたことから、「これは面白い」と恒例のショーとなったようだ。 ◆グラミー受賞曲も放送禁止に…徹底した!? 応援戦法 音楽による“応援”は場内にとどまらない。昨年デビューしたニュージーランドの歌手ロードは、世界中のチャートで1位に輝き、グラミー賞年間最優秀楽曲賞も獲得したが、その大ヒット曲の名前がずばり「ロイヤルズ」。サビでは「ロ〜イヤルズ♪」と連呼される曲だ。これには縁起が悪いと思ったのか、サンフランシスコの地元ラジオ局がこの曲をワールドシリーズ期間中、一時的に流すことを中止。この他にも、レポーターやDJが替え歌を作るなどの“対策”を講じて話題になった。 ◆犯罪抑止効果あり!? 地元警察もノリノリで応援ツイート こうしたユニークな“応援”は、話題が話題を呼び、ますますの盛り上がりをみせている。青木の所属するロイヤルズは、勝てば29年ぶりのワールドチャンピオン。本拠地カンザスシティも大盛り上がりで、地元警察までもが連日のように惜しみない応援ツイートを投稿し、ファンともやり取りを展開するほど。アメリカでは注目の試合が開催されている間は犯罪率が下がるというデータもあるので、そうした効果も見越してのことかもしれない。 プロ野球でも日本シリーズが開催中だが、日本の鳴り物つきの応援は、反対に外国人にとっては興味深いらしく、最近ではスタジアムに外国人ファンの姿も以前より多くみられるようになった。どちらの応援にもそれぞれの良さがあるが、選手や有名人と一般のファンとの距離は大リーグの方がより近い。 ◆ひと晩で160万円!選手がファンとバーで祝宴を開く リーグ優勝決定戦への進出が決まった夜、ロイヤルズの選手たちは、ツイッターでファンに呼びかけ、スタジアム近くのバーで飲み会を主催。500人以上のファンと交流し、およそ1万5000ドル(160万円)の飲み代を自腹で払ってファンに振る舞ったという。また別の日、青木はカンザスシティの飲食店で食事を終えて出て行く時、地元のファンに「ロイヤルズの躍進をありがとう」と拍手喝采で見送られたという。 皆で一体となって応援しようという気持ちは、選手も著名人も一般人も同じ。大リーグでは、それぞれが思い思いに楽しむことでさらなる盛り上がりをみせている。ワールドシリーズを戦うロイヤルズもジャイアンツも、フィールド外でもファンを楽しませ、ファンが楽しんでいるのが躍進の秘訣なのかもしれない。 <取材・文/松山ようこ(スポカルラボ)> http://www.facebook.com/SportsCultureLab スポーツをカルチャーとして表現するメディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる
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