GWに注目!世界の大英博物館展の見どころとは?
収蔵点数は約700万点、常設展示されているものだけでも約15万点。世界でも最大の博物館のひとつ、年間におよそ600万人もの人が訪れるイギリス・大英博物館の貴重な収蔵物を紹介する展覧会「大英博物館展――100のモノが語る世界の歴史」が東京・上野にある東京都美術館でスタートした。
今回、目にすることができるのはその膨大なコレクションの中から厳選された100点。紀元前200万年をスタートにまだ文字のなかった時代から残された“もの言う”歴史的遺物を依代に人類創世の歴史を辿るというものだ。
ゴールデンウィークに向けて多くの来場が見込まれる注目の展覧会ということで、記者は開催に先駆けた報道機関向けの内覧会に参加してきた。会には普段から「よく車を走らせて美術館を訪れている」という展覧会の公式サポーターである女優の田中麗奈も参加。美しいドレス姿で会のキックオフに彩を添えた。
さて注目の展示のコンセプトだが、モノを通して人類の起源から現代までの歴史を見ていこうという極めてオーソドックスなもの。しかし、この手の展示であれば、何よりも資料価値、研究材料として力を発揮する文書にまず注目、それに沿う形で歴史的な出来事を掘り起こすことが多いが、今回の展示ではそういったフィルターを通さずにまずモノを通して視覚的に歴史を感じてほしいという主催者の意向が感じられる。ちなみに企画のきっかけは大英博物館館長ニール・マクレガー氏がナビゲーターを務めるイギリスBBCの人気ラジオ番組だそうで、なるほどあまり例を見ない切り口にも納得する。
年代別にキュレーションされた展示品はその年代の歴史的トピックスを理解するうえでのキーアイテムが世界各地から紹介されている。以下、展示の主な見どころを紹介しよう。
●ウルのスタンダード
⇒【画像】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=837510
世界最古の文明・メソポタミア文明の有力都市・ウルで発見された箱。収穫物を手にした人、戦車や兵士など当時の人々の営みが描かれているものだが、未だに何に使われたものなのかは不明というところもロマンがあっていい
●ラムセス2世像
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歴史映画の巨匠・リドリー・スコットが手掛けた映画『エクソダス:神と王』でその名前を記憶している人もいるかもしれない。映画内では敵役だが、実際にはエジプト帝国の最盛期を現出させた偉大な王として今でもエジプトでは人気が高い
●ロゼッタ・ストーン
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誰もが一度は耳にしたことがあるだろう超メジャーな歴史的遺物。長らく謎とされていた古代エジプト文字・ヒエログリフ解読のきっかけとなったことで歴史教科書でもおなじみ。紀元前196年に作られたもので、当時即位した王の正当性が複数の言語で刻まれている
●パプアニューギニアの盾
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こんなものも展示されています。パプワニューギニアの伝統的な盾を現代の看板職人が手掛けたもの。伝統的なモノに現代アートの解釈が加わったマスターピース。’90年製
最後に記者がとくに印象に残ったものがこれだ。
●サッカー・ユニフォームのコピー商品
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イングランド・プレミアリーグ強豪チェルシーのユニフォーム。ワールドカップで日本を奈落の底に突き落としたコートジヴォアール代表・ティディエ・ドログバのものだが、これは実は偽物。チェルシーのオーナーはロシア人、スポンサーは韓国企業、選手はコートジヴォアール人で製造されたのはインドネシア、ペルーで販売されたという。副題は「この1枚が7か国をまたぐ」。現代社会のボーダレス化の象徴として紹介されている
モノを通して時代、地域を越えた人類の歴史を感覚的に楽しめる展示はまさに生きた歴史の副読本といった趣。多くの人出が予想される注目の展覧会をぜひ生で見てほしい。
<取材・文/大澤昭人(本誌) 撮影/我妻慶一>
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