コーヒーは健康でエナジードリンクは危険? カフェインの効果をめぐり混乱の声
朝の目覚めの一杯に、仕事や勉強で疲れて気合いを入れたいときに、サラリーマンや学生の強い味方となるのがコーヒーやエナジードリンクだ。ともに「カフェイン」を含む飲み物だが、両者をめぐって「健康にいい」「危険である」と真逆の報道がなされ、世間には混乱の声が広がっている。
2005年に「レッドブル」が日本へ上陸して以降、エナジードリンクの市場規模は急速に拡大し、大手飲料メーカーが参入に乗り出すなどその勢いはとどまることを知らない。かたやコーヒー市場も、コンビニの100円コーヒーやサードウェーブの影響で新たな展開を見せており、両者の人気はしのぎを削っている。
そして先日、コーヒーとエナジードリンクはテレビや新聞の報道により、対極の道を歩むことになった。それは健康への影響をめぐる問題だ。
7日には「コーヒーを毎日3~4杯飲むと、心臓病や脳卒中で死亡するリスクを低下させる」という調査結果を、東京大学や国立がん研究センターなどの研究チームが発表した。1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人よりも死亡リスクが24%減り、とりわけ脳卒中は43%も低下していたというのだ(※1)。
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この調査はテレビや新聞で取り上げれ、大きな反響を呼んでいる。だが気になるのは、5杯以上飲む人については十分なサンプルが得られず、明確な有効性が確認できなかったことだ。過剰な摂取は逆効果を生んでいるとも読み取れる。
またその数日前には、多量のカフェインを含むとしてエナジードリンクを危険視する報道がなされている。本当にエナジードリンクは、コーヒーよりも多くのカフェインを含んでいるのだろうか? それは「悪」なのだろうか?
エナジードリンクの先駆けである「レッドブル」の栄養成分表示を見てみると、100ml当りのカフェイン含有量は43.2mgとされる。一方で、内閣府・食品安全委員会は「コーヒー100mlにはカフェインが約60mg含まれている(※2)」としており、決してエナジードリンクのカフェイン含有量が多いわけではない。
確かに米国では、エナジードリンクに含まれるカフェインの過剰摂取による心臓の不整脈で14歳の少女が死亡する事故があり、リトアニアでは昨年、18歳未満へのエナジードリンクの販売を禁じる法律が施行されたことは事実だ。
エナジードリンクには、カフェインの他にもアミノ酸やタウリンなど多くの成分が含まれており、コーヒーもまたしかりである。両者の報道にここまで差があるのは「カフェイン」以外の成分が原因なのだろうか? いずれにせよ「カフェイン」ひとつをめぐって情報が錯綜するのは、食品には珍しいことではない。
結局のところ、どの食品でも過剰に摂取することは健康にとってよくない。コーヒーもエナジードリンクも“ほどほど”に嗜むことが健康への第一歩だろう。
※1.国立がん研究センター「コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」 http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3527.html
※2.内閣府「食品安全委員会 ファクトシート:食品中のカフェイン」 https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/caffeine.pdf
<取材・文/北村篤裕>
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