「土人」発言を非難する移設反対派のウラに見える中国共産党の影

ころころ変わる沖縄県民のルーツ

<文/ジャーナリスト 惠 隆之介>   前回、「もうひと言、大阪府警機動隊員の「土人」発言に沖縄県在住者として言いたいこと(その2)」で、私は翁長知事の国連演説と左派勢力の「沖縄県民は先住民族」と国際社会に訴える活動を批判したが、そもそも、沖縄県民は「先住民族」なのだろうか?  1650年(慶安3年)、琉球王の摂政を務めた羽地朝秀(はねじちょうしゅう)は、琉球王国最初の正史である『中山世鑑(ちゅうざんせいかん)』を編纂した。この中で羽地は、言語の視点から日本本土の人々と琉球人は同じ祖先であるという「日琉同祖論」を展開している。  また、「琉球最初の王である舜天(しゅんてん)は源為朝(ためとも)の子であり、琉球は清和源氏の後裔によって開かれた」とも述べている。源為朝は源頼朝、義経兄弟の叔父にあたる人物である。結果沖縄では琉球王国時代より旧家の長男の名前に、為朝にあやかって「朝」の文字が頻繁に使用された。屋良朝苗(やらちょうびょう・本土復帰後初の県知事)、大山朝常(おおやまちょうじょう・元コザ市《現・沖縄市》長)など、歴史に名を止めている県出身者のほとんどに朝の文字が使われている。  さらに、私が小学生の頃、米軍占領下の沖縄では日本復帰運動が頻繁に行われていた。教員達は人民党(現在の沖縄共産党)に率いられ、授業そっちのけでデモ活動を行っていたのだ。当時のテーゼは「沖縄住民は日本国民だ」であった。だが、教員達はその後一転し、沖縄の本土復帰に猛反対するようになった。

沖縄ゼネスト警察官殺害事件

 本土から沖縄に応援に駆けつける機動隊員は文字通り「命がけ」である。沖縄ではかつて機動隊員が左翼過激派に殺害される事件があったからだ。  沖縄返還協定の国会批准を一週間後に控えた昭和46(1971)年11月10日、沖縄返還協定批准阻止闘争で沖縄域内左翼勢力がゼネストを挙行した。その際、暴徒化したデモ隊(約7万人)の一部が、警戒中の第4大隊第2中隊第2小隊機動隊をこん棒と火炎瓶で襲撃した。結果、同指揮官山川松三警部(殉職後2階級特進)が全身やけど、脳挫傷、くも膜下出血等致命傷を負い殉職、機動隊員数十人が重傷を負ったのである。  実は当時、左派勢力が中国共産党の工作の下、沖縄の日本復帰に際し、米軍基地完全撤去を条件とするよう日本政府に主張していた。左派勢力は、今回の移設反対運動同様、この時も本土や外国から怒涛のように沖縄に押し寄せ、武装して機動隊せん滅を計ったのである。だが、当時は施政権が未だ米国政府の掌中にあったため、警察庁は本土から応援部隊を派遣できなかった。  なお当時、現場で小隊長として機動隊を指揮していた仲間松雄元警部補(故人)は晩年、私に当時をこう語った。  部下が重傷を負ったため、デモ隊指導者らしき者に、「何とか命だけは助けてくれ! 負傷隊員を病院に搬送する必要ある。どうかあなた方の車両に乗せてくれないか!」と懇願した。渋々その者がドアを開けたところ、車内には火炎瓶、こん棒、ナタ等を含む凶器がぎっしりと積載されていたという。

沖縄分断工作を図る中国

 今、沖縄は中国とリンクした左派勢力によって日本から分離される寸前にある。平成24(2012)年7月、私は元過激派活動家から絶対匿名を条件に、本島北部の山岳地帯で45年前、火炎瓶の製造方法や米軍基地襲撃のためのゲリラ訓練を受けたことがあるという証言を得たことがある。このとき男は「指導員の中に中国語を話す工作員らしき人物がいた」と話していた。  沖縄の左派勢力が、中国共産党の指揮命令系統に組み込まれていたことを示す史実がある。昭和47(1972)年1月22日、沖縄教職員会副委員長の福地曠昭(ひろあき)ら活動家数名が、日中友好協会に招かれて北京を訪れ、中国共産党の周恩来らと会談した。その際、周は福地等に対し反米復帰運動の功績を称え、労をねぎらっているのだ。  パンダは一見可愛く見えるが実際は獰猛な動物である。「土人」と発言した機動隊隊員と、「平和」を標榜しながら傷害、破壊活動を公然と行う沖縄の左派勢力、一般の県民にとって真に迷惑なのはどちらか。メディアや国民は、もう一度、冷静に考えていただければ幸いである。 【惠隆之介(めぐみりゅうのすけ)】 ジャーナリスト。1954年沖縄コザ市生まれ。防衛大学校管理学専攻コース卒。海上自衛隊幹部候補生学校、世界一周遠洋航海を経て護衛艦隊勤務。退官(二等海尉)後、琉球銀行勤務。米国務省プログラムにて米国で国際金融等研修。著書に『海の武士道DVD BOOK』『沖縄が中国になる日』『マンガ海の武士道』(以上、育鵬社)、『沖縄よ、甘えるな!』(WAC)、『いま沖縄で起きている大変なこと』(PHP研究所)ほか、多数。 <写真/pelican>
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