さんざん言われ続けてきた日本の財政破綻(プライマリー・バランス死守は亡国への道①)
財政の危機的状況
国の財政の危機が叫ばれ、週刊誌などでは、明日にでも「日本が破綻する」とか「国債が暴落する」という記事が載っている。ことあるごとに国の財政不安に関するニュースが流れ、伝え方も扇情的で国民の危機感を煽るようなものが多い。 また、財政危機の報道の際に添えられるのは、国の借金が1000兆円を超えており、国民一人当たりに換算すると約800万円の借金を背負っているというものだ。 まずは、この巨額な金額を聞いて驚かない人はいないだろうし、反射的に「お金を節約しなければいけない。借金をなるべく早く返さないといけない。税収不足は消費税アップでも仕方がない」と思うのが、普通の日本人の感覚だろう。 そして、上記のニュースに添えられるのが、世界各国との借金の比較だ。実は、日本の財政状況がいかに悪いかという数字がIMF(国際通貨基金)からも出ている。借金大国日本
2013年の統計によると、GDP比では、政府の債務残高が日本は1位で237%。2位はギリシャで158%、3位はジャマイカで146%、4位レバノン、5位イタリア、以下エリトリア、ポルトガル、アイルランド、グレナダ、シンガポールと続いており、11位にアメリカが106%で登場する。 日本の借金は飛びぬけて多くなっているというもので、これを見ると、日本はデフォルト(債務不履行)したギリシャよりも悪いということになる。つまり、日本は世界が認めた借金大国ということがよくわかるのだ。 そのIMFは「2014年対日4条協議スタッフレポート」でも、日本政府に対して、財政の健全化のための消費税15%と個人所得税の課税ベースの拡大などを提言している。 また、OECD(経済協力開発機構)も同様に、「エコノミックアウトルック96」において、日本の財政悪化を改善させるために歳入増加策だけでなく高齢化に関しての歳出抑制を提案している。 この二つの国際機関の趣旨は財務省が2015年に発表した「日本の財政関係資料」のなかの「財政健全化に向けた取り組み」の最後に添えられている。プライマリー・バランスとは
日本の財政危機、そして財政の健全化を論じる際に、必ず出てくるフレーズが「プライマリー・バランス」というものだ。このプライマリー・バランス(PB)とは、基礎的財政収支と訳されている。 そもそも、プライマリー・バランスとは何なのか。ニュース等で解説されているにもかかわらず、財政の専門用語となると、私たち一般の国民にとっては、なかなか言葉が頭に入ってこない。 しかし、このプライマリー・バランスに関しての説明は、財務省のホームページにも出ており、Q&A方式で以下のような「解答」がなされている。 「基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標となっています」 この説明だけでもまだ難しいが、プライマリー・バランスに関して、一般の人にもわかるようにやさしく解説したのが藤井聡京都大学大学院教授の『プライマリー・バランス亡国論』(育鵬社)だ。プライマリー・バランスについて、いかに間違った説明が国民になされているのか、基本的なことが理解できる1冊になっている。 (育鵬社編集部A)
『プライマリー・バランス亡国論』 「財政赤字は絶対悪」との思い込みを各種データから覆す、目からウロコの日本国民必読の書。 |
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