財政赤字が拡大するなか消費税も徐々にアップする(プライマリー・バランス死守は亡国への道③)

財務省

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菅内閣でのプライマリー・バランス目標


 国債の発行額が増加することによって国の借金が膨らみ続ける状況を食い止めようと、財政の健全化を目指した橋本内閣が財政構造改革を掲げた。しかし、消費税増税による景気悪化もあり、緊急の財政支出を1998年と翌99年に行うことになる。そのため、財政は大幅に悪化してしまった。

 この後、2001年の小泉内閣で、中期的なプライマリー・バランス(PB)の黒字化という目標が掲げられることになったが、PBの改善するほどではなかった。その後も財政悪化になかなか歯止めがからないなか、2010年6月に菅首相はこう宣言する。

「中期的には、2015年までの基礎的財政収支、いわゆるプライマリー・バランスの赤字を対GDP比を2010年度の2分の1以下にする。そして、2020年度までには、このプライマリー・バランスの黒字化を達成する」

 加えて、2013年に開催されたG20での「サンクトペテルブルク首脳宣言」において、日本に関しては「2020年にプライマリー・バランスを均衡させる」との文言がペーパーに載ることとなった。この時の「2020年PB黒字化目標」が、現在でも日本の国際公約としてみられている。

財源確保のための消費税増税


 そもそも、財務省としては旧大蔵省時代から「財政均衡主義」という立場を貫いている。だから、財務省からすると、この「サンクトペテルブルク宣言」が財政規律を死守するための錦の御旗となっている。そんな財務省にとって、「プライマリー・バランスの均衡」は消費税増税とセットで考えられており、財務省はなんとしてもこの二つを実行したいと考えている。

 安定財源の確保とともに直間比率の見直しという意味から消費税の増税を進めたい財務省は、マスコミを通じて、消費税増税をすべきということを国民に対して「洗脳」していく。そして、民主党政権の野田内閣(2012年)は、2014年には消費税を8%、翌15年には10%へ引き上げる、との法案を成立させた。

 2012年の総選挙で勝利して政権に戻った自民党の安倍総理は、法律通りに2014年4月、8%への消費税増税を実施することになる。失われた20年が過ぎ、デフレ不況が続くなか、2度目の総理を射止めた安倍首相にとって、第1次安倍政権の理念先行型とは違い、今回はあくまで経済を立て直すことを最優先課題においていた。

 しかしながら、8%への消費税増税を心配する声が国民の間から、発せられていた。というのも、橋本内閣において5%に上がった消費税が、浮揚しつつあった日本経済に冷や水を浴びせ、急激に景気悪化したという過去があったからだ。

 安倍総理の本心はともかく、既定通りに消費税増税を進めることを止められない政府は、消費税アップ前の2013年に60名の有識者から消費税増税に関しての意見を聴取することになる。

 この会議において、7割にあたる識者が賛成の意見を述べ、「条件付き」の賛成を含めると、9割近くが消費税増税に賛成したのである。マスコミもこぞって消費税賛成の論陣を張るなか、専門家を始めとする識者の賛成が圧倒的多数を占めていたことにより、翌年の8%への増税が問題なく進められたのはいうまでもない。
(育鵬社編集部A)

プライマリー・バランス亡国論

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