財務省にとって消費増税は悲願である(プライマリー・バランス死守は亡国への道⑤)

庶民にとって厳しい消費税

庶民にとって厳しい消費税

エコノミストの予測


「消費税を増税しても景気は悪化しない」とほとんどのエコノミストは断言していたが、結果は正反対で景気は落ち込んでいった。つまり、景気悪化により家計の消費自体も落ち込み、企業業績も悪化することで法人税収入も減ってしまった。結局、国のGDP成長率も落ち込んでいき、デフレは継続していくことになる。

 しかしながら、消費税8%後に景気が後退し、もはやどうしようもないとわかった段階でも、エコノミストたち専門家は自らの非を認めることはなかった。この増税に関しては、主要マスコミも後押しをしていたので、「予測を外した」エコノミストが責められることはなかった。もちろん、彼らは現在でもマスコミで変わらず様々な経済「予測」を続けている。

 そもそも、エコノミストの予測ほどいい加減なものはない。なかには、銀行・証券系のエコノミストにありがちな、ポジショントークで予測をする人が多いとの批判もある。週刊誌で景気動向や相場の予測を多くのエコノミストが行うが、予測を外したからといって、前述のように、日本的な馴れ合いからか、仕事が無くなることはない。

「円高で1ドルが50円ほどになる」とか「国債が暴落する」と主張する専門家がいたが、そのような近い将来に対しての予想を外した専門家が、現在でも変わらずテレビや週刊誌に出ては経済を語り、本が出版される。

 元財務官僚で評論家の高橋洋一氏などもよくいうのだが、官僚と学者・マスコミとの関係はこういうことのようだ。まず、政府の審議委員を選考する際は、財務省の考えている方向の議論をしている学者が審議委員などになることによって、財務省との結びつきが強くなる。そして、財務省はこのような学者に財務省の意向に沿った情報を与えて続けていくのだという。

 同様にマスコミに対しても、記者クラブのようなインナーの勉強会に参加する記者へレクチャーを欠かさない。記者にとっては、財務省からの膨大な資料なども即座に受け取ることができるメリットがあり、財務省も記者との信頼関係を築くことができる。言い換えれば、ある程度は「政府の意向を踏まえた記者を使う」ことができるようになるというのだ。

国民に対する啓蒙活動が浸透


 消費税に話を戻すと、消費税が8%に上げる方針を国民に広めたいような場合は、財務省がマスコミやエコノミストの上に位置して、啓蒙(宣伝)を行うといわれている。マスコミとエコノミスト。官僚とマスコミ。官僚とエコノミスト。まさに三者の共存(共犯)トライアングルがある。

 現在、安倍内閣で8%に上げた際の景気悪化の経験をふまえ、消費税10%アップは延期されている。国民が消費税に反対かというと、そうでもない。世論調査などでも、国民の多くはやはり消費税は約束通り上げなければいけないと思っており、これなどは、いかに国民に対する財務省などの「啓蒙」がうまくいっているのかを証明しているのではないだろうか。

 そんな専門家と称するエコノミストが消費税増税時についた「嘘」に対して、藤井教授は『プライマリー・バランス亡国論』で徹底的に批判する。「そもそも消費税というものは、あらゆる消費に対する『罰金』として機能するのだから、こうした帰結がもたらされるのは当然のことだったのだ」

「だからそれは実際の経済に関する理屈や事例を少しでも知っているなら、誰でも予期できる水準のものだった。……消費増税の影響は軽微だと主張し続けた専門家たちは無垢な民に対して集団で『嘘』をつき続けたに等しい」

 藤井教授がどれだけ、専門家を批判しようとも、ほとんどのマスコミでそれが取り上げられないばかりか、当事者の反論さえもないのだ。
(育鵬社編集部A)

プライマリー・バランス亡国論

「財政赤字は絶対悪」との思い込みを各種データから覆す、目からウロコの日本国民必読の書。




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