デフレを阻止で財政は好転する(プライマリー・バランス死守は亡国への道⑥)

景気悪化で広がるシャッター商店街

景気悪化で広がるシャッター商店街

 8%への消費増税の失敗や積極財政の実施を主張する藤井聡教授は、「三橋貴明の『新』経世済民新聞」において、「プライマリー・バランス(基礎的財政収支)」の「制約」があることがなぜ問題なのか、その理由を「7つ」あげている(以下のカッコ内が引用)。

(1)「デフレ」が続く(貧困・格差社会の拡大)


「第一に、このプライマリー・バランス制約(以下、PB制約)がある限り、デフレは脱却できません。そもそもこのPB制約とは要するに、『政府は、税収の範囲で、支出しましょう』というもの。ですから、デフレで税収が少ない時代――には、支出がどんどん削られていきます」

「ですが、デフレというのはそもそも『内需(消費や投資)が冷えこんでしまう現象』で、それを脱却するには『内需を拡大していくこと』が必要不可欠――なのに、政府の支出を削っていけば、デフレから脱却できるはずはない、ということです」

 20年以上も続く日本のデフレ状況を克服するのが、政治の最優先課題であるにもかかわらず、リーマンショックなどの外部要因や失政が加わり、現在でもデフレから抜け出すことができていない。その間、「日本でも拡大する格差の問題」と「子どもや女性の貧困の問題」が広く報道されるようになってきた。

 プライマリー・バランスの「制約」が続くことで、「デフレ」が続いてしまう。この状態の継続こそが、日本社会において格差が拡大し、貧困層が増える要因となるのだと藤井教授は主張する。

(2)財政が悪化する


 藤井教授が第2の理由としてあげるのが、「財政が悪化してしまう」ということだ。

「『PB制約』は財政健全化のために必要だ、と信じられています。影響力のある実に多くの経済学者、エコノミスト、政治家、官僚の皆さんが、この説を信じています。というよりも彼らは、PB制約を守ること、イコール、財政再建だ、と考えている節すらあります」

「しかし、これは完全な間違い。そもそも、財政悪化の原因は、『デフレ』です。日本は98年にデフレ化するのですが、その前後で、国債発行額はナント三倍近くに跳ね上がり、20兆円近くも増えています(10年平均が13.1兆円→32.4兆円)。デフレになれば、あらゆる経済活動が停滞し、税収が激減するからです。これが日本の『財政悪化』をもたらしています」

 上記の(1)で「デフレ克服」の必要性を説いた藤井教授の(2)での主張は、このデフレ克服ができないかぎりは、結果的に財政が悪化してしまう、というものだ。これは、財政悪化の止めるためにプライマリー・バランスを守ろうという財務省をはじめとするほぼ全ての専門家とは、全く反対の主張ということになる。

 藤井教授は、「財政悪化」を次のように例える。「一般の商売人がケチケチすれば、目先では倹約できるにもかかわらず、結局はお客さんをどんどん失っていって、挙句の果てに『貧乏』になってしまうのだ」と。この「ケチケチする」ことこそ、「プライマリー・バランスの改善」であると藤井教授は力説する。(育鵬社編集部A)

プライマリー・バランス亡国論

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