追悼 東城百合子先生(1)

東城先生・正装写真1(縮小)

東城百合子先生

新しい「いのち」の中に

 『あなたと健康』主幹の東城百合子先生が、令和2年2月22日、逝去されました(享年94)。先生は自然食・自然療法研究家の大家として長年にわたり活躍され、生涯現役を貫かれました。  当社からは、『あなたと健康』創刊45周年記念出版となる『健康になる食べ方 幸せになる生き方』と『長生きできる食習慣――健康長寿にはわけがある』を刊行いただいたほか、日本の歴史を後世に伝えるための教科書事業にも、多大のご理解・ご支援を賜りました。  ここにご冥福をお祈りするとともに、ご遺徳を偲び、東城百合子先生の言葉を紹介します。

『長生きできる食習慣』刊行にあたって(インタビュー)

――東城先生はなぜ、グルジア(現在のジョージア)へ行かれたのですか? 東城 約40年前、私はカスピ海と黒海の間の、トルコに近い気候温暖な国・グルジア(当時はソ連に属していたが、ソ連崩壊とともに独立。2,015年からジョージアと呼ばれるようになった)を訪れました。それは、この国が長寿国として知られ、その原因が自然食、穀類、ヨーグルトを中心とした民族料理にあるとされていたからです。長寿者に関する記録や報告を読み、「なるほど」と思ったものの、それは表面に出てきた枝葉です。そこにはきっと、見えない深い根があるに違いない。それが何かをどうしても確かめたいと思ったからです。 ――何か根っこは見つかりましたか? 東城 グルジアの人たちは、生活の中にしっかりとした思想をもって暮らしていました。自分たちが生きる大地をとても大切にしています。大地というのは「土」です。そこに先祖が眠っていると考えているからです。  人間は死ねばその肉体は土に還ります。肉体は消えても、土となって大地に還り、そこにはまた種がまかれて、新しい「いのち」を育み、次の世代がその「いのち」を食べて育ちます。「死ねば終わり」なのではなく、大地に育まれた「いのち」の中に、先祖の心も残されていくのです。  だから、その大地を絶対に汚してはいけないので、農薬は使いません。自然を大切にし、自然が育ててくれた食べ物、「いのち」に感謝しながら生活をしているのです。いただいた「いのち」に感謝して、無駄な食べ方はしません。先祖を大切に、心温かく生きているのがグルジアの人々でした。それはかつての日本人の暮らしとも重なるものです。年長者を敬い、とても大事にします。長寿者も柔和で気品があり、背筋がピンと伸びていて立派です。長寿国グルジアの人たちは、大地を愛し、隣人を愛し、民族の歴史を守り伝え、誇り高く生きていました。 (次回に続く) 東城百合子(とうじょう・ゆりこ) 自然食・自然療法の大家として知られる。大正14年岩手県生まれ。昭和17年当時日本の栄養学の草分けだった佐伯矩博士に師事、栄養士となる。昭和24年重症の肺結核となったが、自然療法によって自らの病気を克服。それをきっかけに健康運動を始める。世界的な大豆博士といわれ、当時国際栄養研究所所長、国際保健機構理事のW・Hミラー博士に師事、自然の栄養学を学ぶ。昭和35年には沖縄に渡り、全島に健康改革の灯をともした。昭和39年沖縄より帰京、東京に居をすえて、出版活動、自然食料理教室、栄養教室、生活塾、講演活動、健康運動に力を注ぐ。昭和48年5月、月刊誌『あなたと健康』(あなたと健康社)を出版し、以来、出版活動と共に運動を進め、今日に至る。その確かな理論と実績に、全国から勉強に訪れる人が多い。著書に、100万部を突破したベストセラー『家庭でできる自然療法』(あなたと健康社)、『食卓からの健康改革』『心を育てる子どもの健康食』(以上、池田書店)、『お天道さま、ありがとう。』『かならず春は来るから』(以上、サンマーク出版)、『食生活が人生を変える』『自然療法が「体」を変える』『食生活が子どもの人生を変える』『「免疫力が高い体」をつくる「自然療法」シンプル生活』『生きた実例と手引き「自然療法」』(以上、三笠書房)、『健康になる食べ方 幸せになる生き方』『長生きできる食習慣』(以上、育鵬社)などがある。令和2年2月22日逝去。
長生きできる食習慣――健康長寿にはわけがある

肥満・生活習慣病にさようなら! いのちの力を養う食事と生き方 医者いらずの健康法

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