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本場の“韓流”鯨料理を食べ歩いてみた!

本場の”韓流”鯨料理を食べ歩いてみた!  韓国には、鯨料理専門店が100軒ほど存在するとされる。そこでソウル市中心部、鐘路(チョンロ)にある鯨料理専門店を訪れてみた。注文したのは鯨肉の全品盛り合わせ。ヒレ肉、胸肉、腹肉、鯨ユッケの4種類が皿の上に並ぶ。これを酢コチュジャン、塩辛、塩ごま油の3種類のタレにつけて食べる。ユッケ以外は水煮にしてある。  まずしっぽ側にあたるヒレ肉を食べてみた。コリコリとした食感。酢コチュジャンをつけて食べたが、味はまだ淡泊すぎる。薄くスライスされた胸肉は赤身と脂身のバランスもよく、ヒレと比べると味に充実感がある。これを塩ごま油につけて食べれば、韓国焼酎の肴にはもってこいな感じだ。  そして、最も高級だとされる腹肉に挑戦。だが、これはかなり臭みがきつい。薬味のたくさん入った塩辛につけてみても、どうも臭みが気になる。脂身も大きくて多く、胃がもたれる。正直、箸が進まない。最後に食べたのがユッケ。梨と一緒に細切りにされているが、これは絶品だった。赤身の部分は淡泊な牛肉のようで、梨の爽やかな甘さと相性も良く、いくらでも食べられる感じだった。  店主が、鯨料理について説明してくれた。 「韓国で食用とされるのはミンククジラだけなんです。ミンククジラは草食で海藻だけを食べている(実際はオキアミなどプランクトンを捕食)ので臭みがなくておいしいんです。特に腹肉は血管のコレステロール洗浄効果や男性がスタミナをつけるための栄養食として最高。ただ、安くはないので一般的ではないです。ウチのお客さんも鯨肉好きのリピーターがほとんどですね」  確かにこの盛り合わせも2人前5万ウォン(約3600円)と一般的な食事の倍以上の値段だ。韓国料理には他に安くておいしいものがたくさんあるため、確かに愛好者向けなのだろう。  また店主は、鯨肉の流通事情についても教えてくれた。 「3か月ほど前に近所の日本料理屋が警察の摘発にあって営業禁止処分になりました。日本から密輸した鯨肉を出していたからです」  韓国では捕鯨はもちろん、鯨肉の輸入すらも禁止されている。網にかかったもの以外は徹底的に制限されているのだという。  ちなみに捕鯨の違法性を強調していた店主だったが、店の名前はなぜか「捕鯨船」。店内には鯨の代わりに、ミンククジラの天敵であるはずのシャチの写真が多数飾られているなど、何とも不可思議な空間であった。  蔚山の鯨料理店では、天ぷらも食べることができた。意外とサッパリしていて、食感はサクサク、油っぽい見た目とは裏腹に、おいしいと言える味だった。  蛇足だが、蔚山の町おこしのために開発された「鯨パン」も紹介しておきたい。関係者があまりにも鯨食の普及を強調するため、てっきり肉が入っているものと思って齧ると中身はただのアンコ。「鯨バーガー」と混同していたようだ。しかし、なぜか記者はホッとしたのであった……。 鯨ユッケは美味、ヒレは淡白な味
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ユッケ(写真左)は、梨やネギなどが効いていて、かなりイケる。 韓国風のタレも、いいアクセントになっている。 ヒレ肉(写真右)は淡泊すぎて多少、物足りなかった
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韓国の”粉ものブーム”に乗じた「鯨パン」。 姉妹品に鯨バーガーがある。鯨肉入りかと思いきや、中身はアンコ 刺し身も天ぷらもタレが豊富!
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天ぷら(写真右)も辛味などのタレにつけて食べる。 サッパリ、サックリで美味だが値が張る(日本円で約7000円)。 鯨肉盛り合わせ(写真左)は豊富な付け合わせが嬉しい ― 韓国でも鯨をモリモリ食べていた!【3】 ―
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