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MLB日本人所属チームを分析【ヤンキース編】

◆老いてボロボロ……なはずが予想を裏切る好調ぶり ヤンキース ニューヨーク・ヤンキースは6月1日時点でアメリカン・リーグ東地区2位、今年もボストン・レッドソックスと抜きつ抜かれつの首位攻防を繰り広げている。だが実はこれは、多くの関係者やファンたちにとってかなり意外なことなのだ。いつものこととはいえ平均年齢が極めて高いチームな上に、今季はシーズン前からチームの中心選手たちの中からケガ人が続出。彼らが復帰するまでに、なんとか取り返しがつかないほど上位チームに離されなければいいが、と多くの人々は考えていたのだ。 ◆日程とブルージェイズのおかげ?  それがフタを開けてみれば意外なほど頑張っている。とはいえその大きな原因の1つと思われるのは、最初50試合のうち9試合が不振にあえぐトロント・ブルージェイズ戦だったこと。このカードはここまでヤンキースの8勝1敗で、つまり全勝ち越し10ゲームのうち7ゲームがブルージェイズからのものなのだ。そのメリットは、ヤンキースとブルージェイズは同地区なので、レギュラーシーズン中に19試合を戦う。まだ10試合も残っているので、今後もブルージェイズがヤンキースの「お客さん」であり続けてくれれば、こんなおいしい話はない。 ◆投打の大黒柱たち  キャプテンであるデレク・ジーター遊撃手は昨年のプレーオフ中に左足首を骨折。今季初めからの復帰を目指していたが叶わず、現在も故障者リスト入り。同じく故障者リストに載っているのはマーク・テシエラ一塁手、アレックス・ロドリゲス三塁手。カーティス・グランダーソン外野手はキャンプ中に右腕を骨折、5月14日にようやく復帰したが、24日に今度は左小指を骨折。故障者リストに逆戻りとなった。  残されたチームの攻守の大黒柱となったのは、WBCでもMVPに輝いたロビンソン・カノ二塁手。例年は悪名高いスロースターターだったのに、WBC効果か、ケガ人だらけのチームでの責任感なのか、今季はシーズンは初めから打率(.290)、打点(34)、本塁打(13)とも全てチームトップの成績でヤンキースを引っ張っている。  そして救援陣の要、守護神マリアノ・リベラ投手。通算セーブ626、歴代1位の記録を伸ばし続けているリベラは43歳。今季限りで引退を表明しているが、今季ここまでも18連続セーブをあげており、打者の手元で自在に変化するカット・ファーストボールは全く衰えを見せていない。彼につなぐセットアップ役のデビッド・ロバートソン投手も、相変わらず良い働きをしている。 ◆代役たちの活躍  ケガで主力選手を欠くのは苦しい事態だが、スポーツではつきもの。その穴を埋めるために他の選手たちが頑張れるかどうかが、明暗を分ける。それに主力選手たちの欠場は、その他の選手たちにとって、チャンスでもある。このチャンスに期待以上の活躍を見せているのが、グランダーソン選手のケガのため急きょ加入したヴァーノン・ウェルズ外野手。彼は元々トロント・ブルージェイズで、走攻守揃った強打者であったのに、2011年にロサンジェルス・エンジェルスに移籍してから成績は低迷、すっかり落ち目のように言われていた。それが今季ここまで打率.264、打点24、本塁打10本とカノ選手に次ぐ活躍ぶり。ライル・オーバーベイ一塁手や、指名打者のトラビス・ハフナー選手も、予想を超える活躍ぶりを見せている。 ⇒【後編】へ続く「イチロー選手の復調は……?」
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<取材・文/NANO編集部> 海外サッカーやメジャーリーグのみならず、自転車やテニス、はたまたマラソン大会まで、国内外のスポーツマーケティングに幅広く精通しているクリエイティブ集団。
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